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あまりにも怪しい奴に名前を呼ばれてしまった。なんで知ってる? とか思ったけど、僕はある意味でLROでは有名人だ。いい意味じゃない方でね。それに僕はキャラクリエイトが出来ない。
普通なら出来るキャラクリが出来ないせいで、僕の顔は既にネットの海に出回ってしまってるのだ。そしてネットに出回った物を完全に消す……なんて事は不可能。なのでちょっと調べれば僕の事は普通にわかる。
プライバシー? なにそれ? である。だからこの怪しい人が僕の名前を呼んでもそこまでおかしいことはない。いや、まったく知らない人に知られてるってのは気持ちいいものじゃないけど……でもそこは諦めるしかない。
わざわざこの怪しげな人が僕の名前を呼んだのは、興味を引くためなのか、それとも何か脅迫的な? 僕は警戒するよ。いざとなったら逃げる。
「ふふ、そんな怖い顔をしないでください。別に、貴方を恨んでるとか、そんなことはありませんから。ただ、ここで私の言葉を無視したら、貴方は後悔することになる」
「なにそれ? 予言か?」
そんなスキルがあっただろうか? パッとは思いつかないけど……でもあってもおかしくはないだろう。だってLROは定番は抑えてるゲームだ。それでいうなら、予知とか予言とか、そういうのは定番といえる。沢山の力が出てくる作品には必ずあるだろう。
ならばこの人はもしかしたらそのスキルを発見した人なのかもしれない。それで悪い未来を見たから、どうにかしたくて僕に接触してきた?
「なんでそれを僕に伝えるんだ?」
それが疑問だ。だって僕は悪い意味で有名ではあるが、最強かといわれるとそうじゃないし? 大きなチームを率いてるか? といえばそれも違う。はっきり言ってそれを伝えるのは僕じゃない……と僕自身が思う。
それを伝えるのにふさわしい人物。僕には一人思い浮かぶ。それはもちろん……
「会長に伝えた方がいいぞ」
やっぱり彼女しかいないだろう。一番信頼できるし、会長なら、その情報を誰よりも有効に使える。馬鹿にしたりとかも絶対にしないといえる。まあどんな情報かわかんないが……あまりにも荒唐無稽な事じゃなかったら、ちゃんと検討してくれるたろう。
それにきっとふさわしい対価だって会長なら与えることが出来る。僕に言われても……ね。別になにもあげれないぞ。
僕は親切心でそういったんだけど、そのフードを被った人はなんか「はっ」とバカにしたように笑った。
「あんな偉い人にどうやって直接話すのよ。それよりもあんたに話すのが最善なの」
それも予知かなんかでみた……ということか? まあ聞くだけならただだし? いやただだよね?
「きくだけでお金取る?」
「取らないわよ!」
よし、なら聞こう。