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「でも流石にぶっつけ本番はできないよね」
「そうですね。検証の必要はあるかと」
私と妖精王はその意見を一致させる。世界樹の苗木を得るために必要な一億コスト……それを稼ぐのは正攻法では不可能だ。それには最短でも三ヶ月かかる。そこまで戦いを長引かせるなんて無理である。昔の戦争はそれこそ何年もやってたらしいが……それはきっと国と言う単位と、多く抑えとく必要がある街とかがあるからでは? あとは人口とかもかんけいあるかも?
とりあえず私達はそんな長く戦いをやるつもりはない。土日できっとおわるだろう。それこそ勝つか負けるかしても……まあそもそもが、もしも今回の攻めでプレイヤーたちが負けたとしても、勝手に攻めて来たりしそうだよね。もしかしたら野にいる英雄が知られる機会になるかもしれない。
本当なら私もだってその一人だったかもしれないのに、今の立場ではそれになりようがない。だって敵の親玉だからだ。まあ悪巧みをしてるのが楽しくない? で言えば楽しい。今だってどうやってこの罠をプレイヤーたちに仕掛けるか……それを考えてるとワクワクする。
私は見た目清純系ではあるけど、結構悪い子なのだ。でも大体女子なんて他の誰かの悪口で盛り上がったりしてるし、そういう意味では皆悪い子かもしれない。いや、日鞠ちゃんが誰かの悪口を言ってるところとか見たことないけど……
そう云う所でも彼女は特別感があるかもしれない。女の子なんて誰かの悪口を言い合う中で打ち解けていくもの……みたいなところがないわけじゃない。綺麗でかわいいくて、ふわふわとしてていい匂い部分しかない……なんてことはない。やっぱり悪い部分はある。
それはそうだよね。だって人間だもの。けどそれでいうのなら……彼女は、日鞠ちゃんは同じ人間なのだろうか? あの子はあまりにも完璧すぎる。もう皆そういう者というか? そういう人として受け入れてるが、やっぱり私から見たらおかしい。
寧ろ日鞠ちゃんこそ超高性能なロボットとか、人間よりもずっと上位の存在とか……そんなののほうが納得できる。だってね。日鞠ちゃんには今のところ悪い部分、一切ないし?
「彼女をこの戦いで出し抜けれたら……ふふ」
ちょっと楽しいだろうなって思った。