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「三か月……それって全然間に合わないわよ? そんなに地上は遅くない」
私はそんな風に妖精王にいってあげる。私は完璧に襲撃の日を知ってるが、それをそのまま伝えることは……ね。いや、妖精王にはいい気もするけどね。だって妖精王自身が会長となんかやってたし? 妖精王が会長をこの玉座に一度置いたおかげで、彼女がいろいろと解除してくれたのは確かだ。
きっとそれでこの世界樹の苗木も出てきたんでは? だってちょっとコストの比がこれまでとは違いすぎる。もっともっと月が発展していって、最終的に出てくるような……そんな必要コストだ。明らかに今の月の都市にとっては不釣り合いだ。
これを妖精王は狙ってたの? どうやら彼はこれを何よりも優先したいみたいだし、それはあり得る。でも一億コストというのは……どう考えても間に合わない。彼だって遠くない時期には地上が反転攻勢に出るとは思ってるだろう。
「わかってます。だからこそ、防御を固めて、次の襲撃をやり過ごさなけれはいけません。全面対決になるでしょう」
「そうね」
「奴らの狙いはわかりやすい。そうでしょう?」
「そうね。まずは世界樹の奪還を目論むでしょうね」
「はい」
誰でも簡単にわかることだ。世界樹がこっちにあることで、地上の存在はすべてに上限ができてしまってる。どう考えてもその状態で月側に勝利するのは不可能だ。だからこそ、まずはリア・レーゼにいって世界樹の奪還を目論むだろう。本当ならまずは世界樹奪還。そして月への侵攻……だ。
でもどうやら会長の考えは違うらしい。週末で終わらせる気であるように、彼女は同時に攻めてくる気だ。かなり無謀に近いけど……会長の事だからきっと勝算があるんだろう。油断はできない。だからこっちもただ世界樹にだけ目を向けている……ということはできない。
いやこの情報を知らないと、まずは世界樹を守るのに全力を出すのが普通なんだろうけど……私はもうその情報知ってるからね。間抜けな行動をとるわけにはいかない。だから……
「世界樹の守りはもちろんだけど、ここだって放ってはおけないわ。だって最終的に地上の目的は月からの解放でしょう?」
「月は常に上にいる……地上を見下ろすのはが月の役目というのに……それを受け入れることができないとは……」
妖精王は哀れだというようにそんな風に首を振っていってた。