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「月の目?」
「はい、それを起動させることができれば、王の望みをかなえることができるかと」
「私の望み? が分かるの?」
「ええ、魂を分けた姉妹の捜索ですよね?」
「はぁ……」
「おや、違いましたか?」
目の前のとんでもないイケメン。妖精王の奴がそんなことを言ってきてる。とてもまじめな顔をしてる。サラサラの金髪がその瞳にかかりそうで……はっきりとした顔立ちが、私へとまっすぐに向けられてる。
そんな私は玉座に座ってる。月の玉座だ。私の椅子。まあ一時的に会長も座ってたけど……そこに座って私はウインドウを開いてる。けど普通のウインドウじゃない。それは月専用のウインドウだ。とりあえず検索で月の目ってやつを検索した。
するとおとぎ話がでてきた。「むかーむかし」から始まるあれである。どっかの国の昔話でも持ってきたのかな? とか思ったけど、そうではなさそう? いやすべての国の昔話なんてしらないが……それに話的にはどこにもありそうなやつだった。
昔々の月に神様が降り立って月に命を与えた。祝福をもらって、沢山の人たちが生えてきた。にぎわう月だったけど、神様はその管理が大変になったようだ。そこで大きな大きな木をつくった。それに命の管理をさせることで、その星のすべての生命を管理できるようにしたとか。
「これって世界樹?」
「そうでしょう。地上にある世界樹……しかしあれは枝分かれした二本目です。
オリジナルを復活させることで、月と地上の繋がりは完全なものになり、世界樹を通してすべての存在の管理ができるようになる。そういうことではありませんか? それができれば、探し人も見つかるでしょう」
なるほど……と思った。私は姉妹たちをすべて探したい。けどLROはとても広い。地道に足で探す……のはとても大変だ。それに……実際まったく変わってしまってるみたいだしね。
けど……この世界樹を使って月の目の管理を実行すれば……もしかしたらふつうは見えないシステムの部分までアクセスできるのかもしれない。
そうなれば、姉妹たちが今どういう風になってるのかとかわかるのかも。姿かたちさえわかれば、探すのは楽になる。いや、全ての生命を管理できるのなら、位置だってわかるだろう。問題はすべてを管理って現代を生きてる私からしたらディストピアでしかないってことだ。




