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「世界樹を管理してるという誇り。世界樹を守ってるという誇り。世界樹に認められてるという誇り。世界樹に求められてるという誇り。きっとモブリのみなさんが胸に抱く誇りは世界樹に関連することでしょう。
でももっと沢山、あなた達には誇れることがあります」
モブリの代表はなんかキラキラとした目で会長を観てる。期待……があるのかもしれない。それに対してエルフの代表は「何適当な事を」……てきな訝しげな目を会長に向けてる。
「モブリの皆さんは魔法の扱いが得意ですよね?」
「それはそうだ。我らの専売特許だ。どの種にも負けない!」
「ふん、魔法だけでは戦場では勝てない」
「何だと!」
エルフの代表の言葉に食って掛かるモブリの代表。本当に仲悪いなコイツラ。でも会長はニコニコである。微笑ましいとでも思ってるのか?
「それは誇りじゃないですか?」
「それはもちろん……これも我らの誇りだ!」
「そうですよね。それとモブリの皆さんは小さいですよね」
「それがなんだ? ちびと言いたいのか?」
なんか今度は不安そうになった。このモブリの代表は顔に感情がですぎだと思う。腹芸って知ってるか? 種の代表ともなると腹芸は必須ではないだろうか? こいつでいいのかモブリの代表? と思った。だって種の代表というのは現実世界でいうなら大統領とか総理大臣とか……そんなのだ。ただニコニコしてればいい……とかじゃない。天皇じゃないんだぞ。
笑顔の中に狡猾さが必要なポジションだ。なのにこのモブリの代表といったら……
「違いますよ。小さなモブリの皆さん、とてもかわいいと思います! 世界愛護の対象ですよ!」
なんか会長が熱弁し始めた。かわいい……は女の子大好きだからね。チョコチョコと動くモブリは確かに可愛くはある。こいつもモブリじゃなかったらきっともっといらついだろうしな。モブリだからこの程度の感情で済んでるまである。
「なので可愛いも誇りにしてください。ほら、また一つ誇りが増えましたね」
ニコニコしてるけど……それをこのモブリの代表は受け入れるのか?
「われらモブリはどこまでも誇りが増えるな! わーはっはっはっは!!」
なんかめっちゃ受け入れてるよ。モブリ全体が心配になる。