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「ほら! ほら! こいつなんの言い訳もできないぞ! こいつらは世界樹をただの素材にしか見てないんだ!!」
わが意を得たり……という感じでモブリの代表がいってくる。確かにそれは俺では何もいえない。けどそこは会長が口を開いてくれた。
「大丈夫です。神聖な世界樹を守るために一緒に考えましょう。簡単なのはチームで動くことですね。一つの種ではなく、それぞれの種を班にして行動させればいいでしょう。それなら人の目が気になって無茶はできないはずです」
「それはなら……って、そもそも我々はほかの種が世界樹の管理に入るのを認めてなんかないぞ!」
「デメリットだけじゃなく、メリットもみましょう。モブリだけで管理するよりも楽になりますよ」
「楽になりたいなんて我々はおもってない。なにせ世界樹の管理は誇り高いことだ」
まあそういうだろうなって思った。だって……だ。だって地位が高いこのモブリの代表が普段から世界樹の掃除? とかやってないだろう。だってあれだけ立派な木だ。落ち葉とか過ごそうじゃん。いやあるかわかんないが、よしんば世界樹が落ち葉を落とさなかったとしても、周囲の環境が汚れを生み出すものだ。ぞれを見逃さずにいつでもどこでも綺麗で清潔にしてるのはこいつではなく、一般のモブリかもっと教会でも地位が低いモブリたちのはずだ。
そこにいろいろとしわが寄ってる可能性はおおいにある。こいつははっきり言って整えられてる世界樹……きれいな世界樹しか見てない。その裏の苦労をまったくしらないまであると思う。誇りを盾に、下に苦労をしいてる典型的な宗教ピラミッドである。
そりゃあお前は楽だろうよ。だって何もやってないもん。けどそれを指摘しても無駄だろう。だってそれをわかってないからだ。わかってない奴にわかってないことを言ってもわからない……そういうものだ。それは会長だってわかってる。
「その誇りを分割することは許されないですか?」
「誇りは分割することじゃない!」
それはなんか正しく聞こえる。確かに誇りは分割できそうにない。そういうものでもないだろうし。
「できますよ。誇りの分割」
「は?」
なんともない感じでいった会長。でもその言葉を自身で少し訂正する。
「いえ、違いますね。分割……では納得できないというのはわかります。確かにそうです。だからこれは……誇りを増やしましょ! それならいいですよね?」
誇りに敏感で、そしてそれを誇ってるモブリの代表である。その誇りを増やすとなると、「いや」とはいえないだろう。なんとなくでも「う……うん?」――とか生返事してた。