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「そんなあいまいな言葉……いくらでも反故にできよう。だから私が言ってやる。世界樹の奪還に力を貸す条件。それは、これからの世界樹の管理にほかの種族も介入させることだ!」
「ま、まってくださいそれは!!」
「なにか問題でも?」
ギロリ……とエルフの代表はモブリの代表をにらむ。いやもしかしたら本人は睨んでる気はないのかも……いやそれはないな。威圧をするために睨んではいるだろう。それにモブリの代表は二の句を告げないでいる。けど実際今回の問題の原因の一員とかがモブリだけだった……というのがある。今回世界樹を月に奪われたことで、モブリだけでは管理できないことを証明してるからな。
それは言われると思ってた。てかむしろ……だ。むしろモブリの代表はそれを先にいうべきだった。だってそうしたら、ほかの種の介入に対して、モブリはある程度の裁量を得れたかもしれない。でも……ただ責任を問われる形でほかの種の介入が決まってしまったら、モブリはただただ力不足だった……ということにされてほかの種の介入の度合いに対して何も言えない状況になる。
そう……今がまさにそれである。ある程度先に譲歩してたら、ただただ相手の要求を呑むだけじゃなく、意見することもできたかもしれない。けど……こうなってしまったら……
「世界樹は我らが……我らモブリが……」
「それで守れなかったではないか!!」
大きな声をエルフの代表は出す。それにモブリの代表は体をびくっとした。その事実がね……覆せないその事実が痛い。もしも……もしもこれからもモブリだけで世界樹を管理したいというのなら、モブリはモブリだけで世界樹を取り返すしかない。それをやって初めて、ほかの代表たちだってモブリの力を認めるだろう。けど今モブリは――
『助けてください! けどそのあとは今まで通り世界樹は僕たちで管理するよ! 口出すなよお前ら!』
――といってるようなものである。そんなの認められるわけがない。だって今回で世界樹の重要性はすべての人に、種に伝わった。絶対に敵に取られてはいけない存在。それが世界樹だ。だから信頼できない奴に任せておけるわけはない。むしろ世界樹はすべての種が手を組んで守るべき存在だ。だからこそエルフの代表だって『我らエルフ』とかじゃなく『他の代表』も……といってる。
あのエルフの代表が……だぞ。自分たちだけじゃなく、ほかの種……つまりは残りの3種族も介入すべきだ……といってる。これは驚きだ。よっぽどこのモブリの代表よりもエルフの代表は協調性がある。
悪いが、もっと独善的だと思ってた。だって本当に自国だけのことを考えてるのなら、割り込ませるのは自国だけ……つまりはエルフだけを関係させようとするはずだ。なのに、このエルフの代表はほかの種族もちゃんと介入させようとしてる。それは世界の問題だと思ってるからだろう。俺の中のエルフの代表の評価が上がりつつある。