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「そうですね。その言い分もわかります。これまでずっと世界樹を守り続けてきたモブリの皆様。けどそれに使命を感じて、ほかの種の干渉を極端に嫌ってたのも事実、ですよね?」
アルテミナスのエルフの言葉に同意して会長は今度は縮こまってるモブリの代表へと向く。ただ怒鳴るだけではなくなって、ちゃんとしたことを言うのであれば、ちゃんと会長もそれを受け止める。理不尽でも、ただの己だけの感情だけじゃなく事実……であるのなら、それを確認して解決することが、議長という立場には求められる。実際この場で議長なんてものじゃないし、会長はどっちかというとゲスト? くらいだと思うが……会長はきっと何らかの意図があってプレイヤーだけではなく、この世界の国家と協力することを選んでる。
きっとその気になれば、テア・レス・テレスだけでできないことはない……と思う。いや、実際にはテア・レス・テレスだけじゃない。アギトの奴のチームも、そしてローレの所の四国の人員だって出せるだろう。ただ単純に数が多いテア・レス・テレスと質の高いローレの所の奴ら。それだけでもかなりの戦力だろう。さらには会長の戦略性とかいろいろと加味すると、別にテア・レス・テレスだけでもなんとかできるのでは? と思わなくもないんだ。でもあえて……そうあえて会長はこの世界の人々と協調しようとしてる。そもそもが大きくこのLROの世界にかかわってるのが大きいだろう。
もしもなにかエリアでの問題なら、LROのほうには持ち込むことはしなかっただろう。けどこの物語はたくさんの人たちを巻き込んでる。それこそNPCのたくさんの人たちも無関係ではいられない。だからこそ、会長はきっと……
「それは……すまなかった! これまでのことを謝罪する。この通りだ!」
モブリは小さい。だからだろうか? まさかテーブルに体全体をのせて、体を縮こませてまるで芋虫のように体を丸めて謝罪してきた。リアルならテーブルに乗るなんてマナー違反だろう。それこそこんな場でやっていいことじゃないと思う。もしも首脳会談とか、それこそG7とかの国際会議の場で、こんなことをしてきたら逆に何やってるんだこいつ? と誰もが引くだろう。リアルでは謝罪になりえないと思う。でもここはある意味で異世界で……常識がそもそもが違う。それに……別に気難しいマナーがある……なんてのは俺も聞いてない。
ある程度の常識に教養……そんなのは代表になる者には当然に備わってるから……なのかもしれない。ということはそのある程度の常識……にこのテーブルの上で土下座するのは失礼じゃない……とかあるんだろうか? プレイヤーである俺にはわからない。でもさすがに明確にマナー違反とか行儀が悪いとかあるならさすがにこのモブリの代表もこんなことするわけ……ないよな? 俺は同じプレイヤーの会長を見る。彼女だってプレイヤーだ。こんなことが許されるかわからないだろうと思ったんだ。けどどうやら会長は動揺なんてしてないらしい。
むしろ――
「改善案はありますか?」
――とかなんとか言ってきた。改善案……それを聞いてモブリの代表は「え?」とか言ってる。