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「そんな! 誇りとはそんなものではないぞ!!」
アルテミナスのエルフがそんな風に言う。誇り……現代で生きてる俺的にはそんな物……と思う。現代人である俺は誇りなんて持ってないが、それもきっと人によるのだろう。現代人でも誇り……がある奴はいるだろう。いや現代人の場合は誇りというか『プライド』といったほうがいいかもしれない。
でも誇りとプライドとはちょっと違う。このアルテミナスのエルフがいう誇りは『種族』に対していってることだ。自分たちでいうなれば、『日本人』に誇りを持ってるような……そんなことだ。そういうのは現代では珍しいと思う。日本人に誇りをもってますか? ということを聞いて「はい!!」と自信をもっていうやつが一体どれだけいるだろうか? ということだ。
そんなにいないと思う。だってそういう意識がないからだ。けど彼ら……エルフたちにとってはエルフというのはそれだけできっと誇りなんだろう。そしてそれはモブリたちも同じだ。それがやっぱり特殊な感覚だなって思う。現代人である俺達にはせいぜい個人で持つプライドくらいだから。
誇りはもっと複雑なんだろう。簡単に割り切れるものじゃない。なんとか会長は二つの種の誇りを建てようとしてたようだけど……やっぱりそんな簡単なことじゃない。なにせ感情だけでこの世界なら簡単に戦いに発展する……なんてことがあるだろう。
「そのチビたちもそうだ。我らと組むなどその誇りが許さないのではないか? なあ誇りあるモブリたちよ」
アルテミナスのエルフは嫌ってるくせに、そこだけは自分たちと同じなのだというように同意を求めてる。嫌いだけど、そこだけは認めてるのだろう。我らが嫌なんだから、こいつらだって嫌に違いないというさ……なんとも後ろ向きな信頼だろうか? けど……モブリの代表……彼はその小さな体をプルプルと震えさせて絞り出すように……こういった。
「我ら……いや我は……あなたたちの力が必要……だ」
「な……に?」
驚愕……そうまじで驚愕という感じでアルテミナスのエルフは目を見開いている。そんなに? さっきからモブリの代表は現実をわかってたと思うが? 彼らはその高慢ちきな鼻っ柱を折られてる。世界樹を月に奪取されたときね。きっとめっちゃ責められたんだろう。てかこのエルフたちが急先鋒だと思う。
けどそれでも誇りとはそんなので折れるものでは彼ら的にないのかもしれない。だからこそ、このモブリの代表の言葉は寝耳に水……みたいな感じなのだろう。
「貴様らの誇りとはそんなのものか!!」
いやもうどっちならいいの? と言いたい