2668 前に進む為のyの解編 17
「大丈夫です。裏切りがあったとか、それは確かにモブリの人たちの落ち度かもしれませんが、取り返しはつきます。頑張ってくれますよね?」
会長が務めて明るい声でそういってモブリの代表を見る。すると鋭い目つきをしてるアルテミナスのエルフの代表から目をそらして、優し気な会長の方へと全力で首を……いや、その全身を使ってモブリの代表は肯定を示す。
「もちろんだとも! 我らは全力で世界樹を取り戻す。我らは出し惜しみなんてしないと誓おう!」
「流石です。誇り高い世界樹の守り人たる所以ですね。それでは世界樹奪還のチームはリア・レーゼ、サン・ジェルクのモブリ達を大きく組み込んで作戦を立てましょう。
ですが、やはり得意不得意はあります。モブリの皆さんは魔法が得意でも、近接戦は得意ではありませんよね?」
「それはそうだな。我らは魔法なら自信があるが、体を使っての切った張ったは得意じゃない」
「ふん、なんとも脆弱な……」
会長の得意不得意の確認に対して素直にそういうモブリの代表。そしてそんな彼に対してアルテミナスのエルフは厳しい事をいう。それは実際どうしようもない体格差……なんだから、仕方ないと俺は思う。エルフは高身長で手足が長い。それに対して、モブリは大人であっても一メートルもないくらいの身長で手足も当然短い。
それはそういう生物なんだ。しかたない。むしろ手足が長くてスラっとしてるモブリがいたら不気味だろう。だからそれを嘲笑するのは、はっきり言って性格が悪い。とりあえず他の代表たちは何もいわない。下手にどっちを庇うなんてしてもどっちにしろ角が立つだけだからだ。
だから皆が中立を守ってる。けどやっぱりそこは会長である。この最悪な雰囲気をまともな方に舵取りする。
「ふふ、でもモブリの方々の魔法は凄いです。それはきっと余りある戦力になります。それにエルフの方々の戦闘に適したその体、きっとモブリとエルフが組んだら世界樹の奪還も容易になると思います」
なんともぶっこんで来た会長である。まさかここで中立でも、どっちかに偏る……とかじゃなく、どっちも使おうとするか……確かに魔法が得意なエルフと、騎士とかを持ってるエルフ達なら丁度バランス的にもいいだろう。前衛と後衛……その考えはこのLROの基本的なシステムだ。
けど、アルテミナスのエルフはそんな単純じゃない。
バシーン!!
と机をたたき、彼は立ち上がった。