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「世界樹を奪還しつつ、月へも攻め込む……と言う事か? 月に真っ先に行く奴らは死にに行くようなものじゃないか? 我らの軍はそんな事には使わせんぞ!」
アルテミナスのエルフの代表が真っ先に懸念点に突っ込んだ。でもそれはわかる。なにせNPCはプレイヤーと違って簡単に復活出来る……なんてことはない。この世界のNPCの命は一つしかない。
そして大体国の軍はNPCで構成されてる。例外としてプレイヤーが軍に所属してる……と言うこともあるらしいが、けどそれは言ってる通り例外だ。そんなに大量のプレイヤーで複数部隊作れる……なんてことはない。
だから軍の兵士は有限だということだ。そこはきっと会長だってわかってる筈だ。チームであるテア・レス・テレスは逆に大部分がプレイヤーだろう。けど、テア・レス・テレスのエリアはこのLROへと接続してる。
そしてレスティアには沢山のNPCが進出してるし、移住とかしてる存在だっている。そんなテア・レス・テレスには逆にNPCを組み込んだりしてたりすると聞く。
だからきっとそこらのチームの大将よりもNPCの事をわかってるはずだ。
「そうですね。私も命は大切だってわかってます。なので月への初めの侵攻は私達が、テア・レス・テレスが対応しましょう」
「それでいいのか?」
「皆さんもしっていますよね? 私達冒険者は復活出来ます。それに、こちらは血の気が多いのがたくさんなので、戦いがいある方が良いんですよ」
「ふん、それなら……好きにしろ」
「ええ、世界樹を取り戻すまで、止まらない事を約束しましょう」
ある意味でそれは、「お前たちはなんとしても世界樹取れよ」――と聞こえなくもない。まあ会長はそんな風なニュアンスは込めてないと思うが……それに会長はだからな。そっちだけ……テア・レス・テレスだけの事を考える……なんてこともしない。
「それで世界樹奪還の事ですけど……」
「も、もちろんそれにはサン・ジェルクとリア・レーゼも全力で協力をしよう」
「協力だと? 貴様たちのおひざ元だったのだろう? お前たちが一番に矢面にただずしてどうする!?」
モブリの代表の言葉にアルテミナスのエルフの厳しい言葉が飛ぶ。それに対してモブリはその体を縮こませてた。