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パチッと入ってきた会長と目があった。目が覚めた……とは聞いてた。けど確か五日くらいは眠ってた筈だ。そこまで寝てたから元気一杯……なわけではないだろう。リハビリとかさ……やったりしないのだろうか? 一週間くらいではないか? それかこれが若さ? か。現れた会長はちょっとだけ頭を動かして礼を示してくれた。
実際そんなにかかわりはない。スオウを通して片手で数えるくらいしかあったことないだろう。それなのに覚えてたのか……なにせ会長は今や最大のチームである『テア・レス・テレス』のトップだ。
それに今も唯一このLROの本編というか? 本世界に繋がってる唯一のエリアだ。そしてその交易とか色々な事を上手く調整して、テア・レス・テレスを各国に認めさせてる。今やレスティアは新たな大都市として認知されてる。それらの調整を全てつつがなく、滞りなくして、円津に成し遂げたのが会長だ。
いきなり訳が分からない大陸が現れて、更にはその文化とかものが流入してきた……となったら、普通はもっと混乱するだろう。それこそ現実の黒船来航みたいな……歴史の転換点だ。
あの時何があったのかなんてそこまで知らないが、沢山の混乱があったとは教科書とかに乗ってただろう。リアルではその戦力差? とかで大々的戦争にはならなかった。日本は脅されて開国を迫られた。そしてそれを受け入れることになった。
でも明治維新とか大きな大きな歴史のうねりは起きたのだ。それがLROでも起きる可能性はあった。それにきっと戦力は歴史の日本と大陸程になかっただろうし、もしかしたらテア・レス・テレスとこちら側の国家で戦争になる……可能性はあった。
もしもテア・レス・テレスのトップが会長じゃなく、もっと好戦的で刺激を求めるような奴だったら、それこそLROに接続された……とわかった段階で強襲作戦とかで、攻め込むことだって出来たはずだ。そういうムーブだって出来た。
でもそんな事にはならなかった。なぜかいつの間にか、皆が当然のように受け入れてた。いやそういう設定になってた。実は……って感じで。それは元からLROが用意してた物だったのだろう。
整合性を合わせるために……でも、それに従うかはプレイヤーにゆだねられてる。やろうと思えば戦争は出来た。けど会長は調和をとった。
誰よりもうまいやり方で、レスティアをテア・レス・テレスを受け入れさせたのだ。だから俺も思ってる。こいつは凄い奴だと。