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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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2651 前に進む為のxの問い編 1035

 玄関口で泣いてた僕等。どうやら僕だけじゃなく、僕の涙につられて日鞠も泣いてたようだ。あんまり知らない人も多いが、日鞠は結構泣く。感受性が豊かなんだ。

 あんまり人前では泣かないようにしてるし、日鞠の場合『完璧』というイメージが強いから、泣くことを意外に思う人は多い。

 けどよく『初めてのお使い』をみて泣いてる。そんな日鞠だから僕の涙につられたんだろう。二人で泣いてるとお世話さんに中に促された。

 やっぱり外で高校生が泣いてると……ね。いや、そんなに人いなかったけどね。何せこれだけの屋敷があるような場所である。

 もちろん繁華街……ではなく、閑静な住宅地だ。それに今日は猛暑日の日差しが強い日。外にはそんなに人はいない。だからそんなに人の目を気にする必要はないのかもしれない。

 もしかしたらお世話さんもそっちじゃなくて、ただ単に日鞠の体調を心配しただけなのかもしれない。なにせ普通に見えても、日鞠は五日ぶりに目を覚ましたのだ。もしかしたらいつもはあんまりしないメイクをしてたのも、実は顔色の悪さを隠すため……だったのかもしれない。


 メイクと言えば、自分を華美にするためにある……と言うのが男の僕にはそんな印象がある。けど、それだけじゃない。顔色を整える……と言うのもメイクだろう。それこそ女性は出来物を隠したり……もメイクなのだ。だから顔色を整えるためにメイクをするのもメイクである。


「日鞠……」


 僕は無理させたか? と、そんな事を思って彼女の名前を呟いた。ただ名前を呟いただけだ。でも……日鞠にはつたわったようだ。繋がってた手。さっきまでは二人の手は指で軽く繋がってる感じだった。手を握りしめてるというよりは指を軽く触れさせてる……そんなくらいだった。けど、僕が不安げな声を出すと日鞠はがっしりと手を握ってきた。


「ふふ、今は元気百倍だよ。なんでかわかる?」

「……」


 何をいおうしてるのか、僕だってそのくらいわかる。僕はそんな鈍感系ではないのだ。寧ろ敏感系である。知覚過敏まである。だから僕は日鞠が何をいおうとしてるのか、それを察してる。けど……それを口にするのは高校生男子の僕にはハードルが高い。愛とか恋とか……そんなのを自分の口からいうのは単純に恥ずかしいのだ。


 けど、日鞠はさらっというよ。


「スオウが、来てくれたからだよ」


 思わず廊下の途中で抱きしめてしまった。放したくない……本当にそう思った。


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