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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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2648 前に進む為のxの問い編 1032

 僕は走った。夏の炎天下……もう夕暮れになってきてるが、暑さが引くことはない。日が長くなってる夏の夕暮れはそれこそ六時も過ぎて七時も見えてくるくらいだった。学生は夏休みだから、いつもよりもこの時間でも道に人は少ないかもしれない。

 でも帰宅中のサラリーマンとか社会人の面々が多い。きっとこれから癒しを求めて自宅に帰ってくつろぐんだろう。そんな人の波に逆らうように僕は走ってる。

 汗がとめどなく出てくる。Tシャツが肌に張り付いて気持ち悪い。汗は気化熱で体温を下げる役目があるとかいうが、全く持って涼しくなることはない。夕暮れの中に、人々の喧噪と少し先から聞こえるガタンゴトンの電車の音。そして夏の風物詩のセミの声。

 そんな中を走って、駅に滑り込む。ごった返してるように見える駅の中。なんかいつもよりも多い気がする? とおもった。けど、まあ帰宅ラッシュとかぶってるからだろうと思った。でもそれは違ったみたい。

 だって駅の改札……そこにたどり着けない程に駅の中は人であふれてた。そのせいで、駅の中は人の熱がムワッとただよってた。まるでどこかの即売会みたいな? そんな感じになってる。僕はすぐにスマホでこの原因を探す。

 すると速攻でわかった。駅の乗り換えチェックするアプリとかに電車の遅延情報が表示されてる。○○線○○原因で30分の遅延とある。もろだった。


「こんな時に……」


 こうなったらタクシーしかないか、と一瞬で判断する。そして踵を返して階段を下りてタクシー乗り場へ……けど……


「ここもか」


 当然だけど、タクシー乗り場もついでにいうとバス乗り場だって人でごった返ししてた。これは……やばい。一刻も早くめざめたであろう日鞠の居るあの家に行きたいのに……もしもこの身一つでいくとしたら一体何時間掛かる? 徒歩なんていう選択肢はなかったから、そもそもが公共交通機関での移動でしか検索してなかったが……徒歩の方に切り替えると、数時間はかかる。


「それなら自転車で行くしかないか。走るよりましだし」


 それしかないか……と僕はおもった。数時間が一時間くらいには所要時間が減ってくれてるし、背に腹は代えられない。だから僕は来た道を急いで戻ることにした。なんて無駄な時間なんだ。一刻も早く日鞠の元に行きたいのに。自宅に寝かせてたら……と思っても仕方ないが、すぐにそばに行けないことがもどかしい。


「はぁはぁ……」


 息を切らせながらも自宅が見えて来た。すると家の前になんかごつい? ジムニーみたいな車が止まってた。あんな車はここらでは見ないが? とか思ってると、その車からグラサンにシスター服を着たおかしな人が下りて来た。

 うん、間違いなくおかしな人だ。そのおかしな人、僕の師匠なんだけどね。

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