2646 前に進むためのXの問い編 1030
僕たちは地上に戻った。
「ふう……」
ようやく一息つける。そう思った。てか一息ついてた。だって……僕はローレやらアーシアと談笑してる会長をみる。その姿はずっと眠ってた……とは思えないくらいに普通だ。寧ろ元気溌剌といっていい。
まあそもそもが? あんまり会長が弱ってる姿なんてのは見たことないけどね。こいつほぼ風邪一つひかないからな。そういうのは全て予防でどうにかできる……という信念を持ってる。そもそもかいつだって忙しくしてる会長である。
それはリアルでも仮想でもそうだし、今も……そして昔からそうだ。そして自分が愛されてる……という自覚も持ってる。そんな愛されてるからこそ、心配されることに心苦しく思うんだろう。
いつだって元気な姿を見せるのも恩返しなのだそうだ。なので会長・日鞠にとって病気なんて悪なのだ。そういうわけで会長は病気は予め予防してる。病気になること……が一番コスパ悪いことなのだ。毎年健康診断受けてるしね。
若いんだからもちろんだけど要検査が出ることなんてない。
「だから無駄だろうそんなもん……」
――といっても会長がそれをやめることはなかった。会長的には、
「これで安心が買えるんだよ? 現代医学の保証がもらえるんだよ。やすいものだよ」
――と言ってた。そんなやつだから今回5日くらいだったけど、眠ってたのはなかなかに珍しい。色んな所に伝があって、そして知り合いがいまくる会長である。これ以上はきっと誰かが不審に思っただろう。そうなると波紋のように何処かからか「あの日鞠ちゃんを最近見ないんだよね」――とかとだれかが言って、それが広がっていって大事になってしまったかもしれない。
だからこの5日……一週間近く……というのは絶妙だったという気がする。
(まさか……)
僕はそこまで考えてもしかしての可能性を考えた。それはもしかしたらこのタイミングで目を覚ますのまで会長のやつの思う通りなんじゃないかってことだ。僕が行ったときもあんまり焦ってなかったし……そんな事も思いつつ、ゲートの光が収まっていく。
僕達は見慣れた……ことはないが、豪華な広い部屋に戻ってきた。ローレの所有してる家だろう。