2640 前に進むためのXの問い編 1024
ガバっと会長にセツリが抱きついてる。僕達は月の表面に戻ってきてた。するとびっくりだよ。なんか月が……月に緑が広がってた。もしかして地上に戻ってきたのか? 出る所間違った? と思った。だってシステムの奥にいたんだ。出口を間違えたら、それこそ直接的に地上に出る……ということだって出来たと思う。
けど……
(僕ならともかく、日鞠が間違うわけないよな)
それである。僕ならともかく、日鞠には間違いはない。だからここは月なんだろう。それにアギトたちも確認できたし。なにやら妖精王とバチバチやってる。
「あらら、一触触発だね」
会長の奴は呑気にそんな事をいってた。けどすぐに妖精王の所に行く。自身が出るのが一番……だということだろう。妖精王との約束があるみたいだし……わざわざ月のシステムの内側……その奥まで行くのに協力をしたのは妖精王だ。
だからきっと進捗でも報告するんだろうっておもった。そしたらなんかセツリが呼ばれて……そして彼女は会長にだきついた。涙がみえる。そこそこ距離がある。けど僕には見える。その涙が。きっと会長が当夜さんの事を伝えたんじゃないだろうか? 妖精王がいるから直接当夜さんの名前を言ったとは思えないが……きっと伝わるようにいったんだろう。
「私やるよ」
涙が流れた目を手で拭って、セツリはそういった。どんな会話が会長と繰り広げられたのか……それはよくわからない。僕は目は良いが耳は普通だからね。けどその言葉は聞こえたよ。声だったのかな? わからない。でも確かに僕には聞こえた。
「どうなってんだ?」
傍のアギトがそんなことをいってくる。僕だって会長の思惑とかはよくしらない。それに妖精王との約束は聞いたが、その手段は知らないし? だから僕だってここから会長がどういう風にこの事態を動かすつもりのなのかはわかんないんだ。
「皆さん、ありがとうございます」
そんな事をいいつつ、会長が妖精王の元からこっちにおりてくる。月面に落ちる直前にその勢いが落ちて、ふわっと会長の黒髪がひろがった。会長の姿では三つ編みにしてないから、そのそこそこ長く細い髪の毛が目を引くように広がる。
僕意外……皆に視線を向けて綺麗に頭をさげる。
「ご心配おかけしました」
それが口火になって、アギトやオウラさんなんかは会長に詰め寄っていく。僕は既にたくさん話したからな。会長は心配してくれた皆にちゃんと安心を届る必要が有ると思う。うんうん、しっかりと皆を安心させてやれ。どうせすぐになんかとんでもない事やりそうだし……だってこの月の変化よ。
なんかとんでもないことになってるぞ。