2638 前に進むためのXの問い編 1022
「かい……ちょう?」
光が俺の体を包む。それは魔法……とかじゃなく回復薬の光だ。回復薬は普通は飲む。そんな風な事がやりやすい形の良い瓶に入ってるからな。でも別に直接飲まなくても効果は出る。ふりかけたりするだけでも別にいい。傷口に直接かけるとかね。それか最悪は手で栓がされてるところをおるとかでもいい。
それをやると持ってた人にその中身の効果が付与される。だからきっと誰か……いやこの場合は誰かはわかりきってるだろう。
「スオウ……うまくやったんだな」
「ああ、なんとかな」
それはスオウのやつだ。会長が戻ってきた……ということはこいつがうまくやったと言うこと。だからこいつの仕業かな? と思った。
「他のみんなは?」
「同じ状態だったからな、同じように回復させておいた」
やっぱりか……みんな同じ状態だったってことか。このタイミングじゃなかったら、文字通り俺達は全滅してた……ということか。危機一髪だったな。けど……
「タイミング良かったな」
「ああ、あと一歩遅かったらやばかったな」
なんかさっと視線を外しされたような? なんでだ? この危機一髪の状況だったんだぞ? とてもこっちはありがたく思ってる。それとももっと早くこれたらこんな状況にならなかったとか? そんな後悔でもしてるのか? でもそれは仕方ない。こんなことになってるなんて、思ってなかっただろうし? みんな無事だったのなら、それで良かったと思うだろう。間に合ったのならよかった。そういう心境だと思う。
「会長の奴、大丈夫なのか?」
「ああ、それは……ああ」
なんか歯切れ悪くないか? 会長は妖精王に向き合ってる。一体何を話してる? そもそもが大丈夫なのか? でも、会長は最初から妖精王と交渉とかなんとかしてたんだよな。だから何かあるんだとは思う。ただ、剣を交える……それだけの間柄じゃない。
けど、二人共そこそこ上空にいるから、ここからじゃ何を話してるのか……それはわからない。
そんな事を思ってると、妖精王と会長の所に、一人……加わった。今まで姿を見せてなかったセツリだ。でもセツリもなんかわかってないような? けどちょっとすると、セツリは会長に抱きついた。そして……泣いてるように見える。