2637 前に進むためのXの問い編 1021
一撃……ただの一撃で危機に陥った俺たち。周囲を見て誰か無事な人は居ないのか? と探したいところではある。でも……今まさに妖精王に立ち向かってないのを見るに皆が……やっぱり今の一撃で同じようになってるのかもしれない。
「うう……」
「あくっ……」
そんな苦しそうな声が聞こえる。俺は前の方にいたから、実際のみんなの状態を確認ができない。けど……きっと俺の最悪の予想はそんな間違ってないだろう。
スッ――
妖精王はもう何もいわない。けど、俺達が地に伏してあがいてるさまを見て、満足してそうな……そんな顔をしてると思った。あれは自分の力によってる? もしかしたあいつもここまでする気はなかった……とか?
でも俺達は敵で……だから結局こっちを気遣うなんて必要ないと判断したのかもしれない。さっきもあの妖精王の後ろの天使だか、妖精だかはこっちにはわかんないがあれがやったんだろう。そして再びあれが動き出してる。トドメ……ということか? なんとかしたい、ジェスチャーコードを必死に起動しようとしてる。
けど……ゆっくりとしか手は動かない。でも……今のHPでは指しか動かせない。でも……指さえ動かせたら、回復薬を取りだすことはできる。それが間に合えば……
(宇宙が……)
どんどん白く見える。暗いはずの宇宙……それが光に溢れていくような……自分の瞳がおかしくなってしまったのかと思うような光景。でも……さっきも同じだった。だからわかる。これは俺の目がおかしくなったわけじゃない。ただ、あの妖精王の後ろのヤツの攻撃なんだって。さっきは足元に巨大な陣が出てきた。
それから俺達は逃れることは出来なかった。そのせいでこんなことに……今度はその背後の宇宙を全て覆うような光……何なんだ一体? あれは一体……なんなんだ?
何も出来ずに、このままやられる……そう思ったときだった。
「なにやってるんですか!」
そんな聞き覚えのある声が聞こえた。それはいつもの落ち着いた声音じゃなかった。眩しいから見えないが……それは確実に会長の声。戻ってきたのか……戻ってこれたのか……会長がいると言うことはスオウも? 今の俺にはそれを確認する事はできなかった。でも……何やら会長の声が聞こえてたら、その内、眩しいほどの周囲の光は収まってた。