2630 前に進むためのXの問い編 1014
「みんな!」
街の外で戦ってた俺達はスオウと共に町中に入ってたメンバーと合流した。セラとアーシアとローレ。それに……
「妖精王!!」
そう、そこにはなんと妖精王もいた。なんで? だ。いや、おかしな事はない……か? でもそれは戦ってたら……ではないだろうか? きっとこの場にスオウがいないのは、三人が月の奥へとうまくスオウを送ることが出来たから……だと思われる。セラもローレもいるんだ、そこは心配してなかった。二人の地力は相当なものだ。
だからアーシアというちょっとした足手まとい? がいてもどうにかしてくれるだろうと思ってた。それは間違いなかったんだろう。でも……これはどういうことだ? 俺達はさっきまで戦ってた。月人の特殊個体……それと死闘を繰り広げてたといっていい。
でも……だ。でもローレたちはどうだ? 妖精王は月のラスボスというか? そんなやつだろう。今のところはそうだ。月の女王はセツリ……となってるが、あいつよりは妖精王が月のラスボスにはふさわしいだろう。
だから戦ってたのなら、かなりの激戦……になっておかしくない。周囲の壊れた街がなくなったから、被害がないように見える? いや、なんかそんな雰囲気でもなかった。端的に言うと……
「煩いやつだ。落ち着け。今、我らが戦うことに意味なんてない」
そんなふうに言ってくる。そう、何故かラスボスが戦う気ないのだ。どういうことだ? 俺達は月へと侵入してきた侵略者で、その目的は日鞠……会長だ。それはきっと妖精王だってわかってるんじゃないか? むしろわかってないわけはないだろう。それなのに、眼の前の妖精王には戦う気がないように見える。
てか実際、戦ってないし……三人とも別に疲れとか見えない。むしろ街の外の方で戦った俺達の方が色々とボロボロだ。
「意味なんて……なら会長を返せ」
とりあえず目的は果たしたい。それを確認するまでは月から帰る事はできないし。俺の言葉にはアイリ達、外から走って来た面々はうなづくよ。なにせスオウと共にここまできたローレたちと違って俺達は現状を把握してない。
俺達が知ってるのはあの変なシステムメッセージだけだ。ここに既に会長もスオウもいるんなら、大団円で帰ってよかった。けど……どうやらまだ二人共戻ってない。
「焦るな。今戦っても、貴様らでは我には勝てないぞ。それでも戦うか?」
絶対的な自信。そんな妖精王に俺達は武器に手をかける。分が悪い……確かにそうだが、でも人数は圧倒的にこっちが上だ。ワンチャンあるんじゃないか? とちょっと思う。