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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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2623 前に進む為のxの問い編 1007

「考えとく」


 当夜さんは日鞠の言葉にそうそっけなく答える。その顔はとても不服そうだ。拗ねたガキかな? もっと喜んでいいと思うんだけど……初めて彼を見た時、僕は自分とは違うんだと思った。確か一番初めに彼を感じたのは薄暗い部屋で胡坐をパソコンを弄ってる背中だったような……そんな気がする。

 その時はなんか異様な迫力があったような……そんな気がしてた。でもそれはきっとこっちの思い込みだったんだろう。あの時はまだ彼がLROの開発者であるなんか知らなかったし、なんか変な場所で変な人がいる……という印象しかなかったような気がする。

 でもなんかいきなりの事だったし、当夜さんもなんか意味深な事を言ってた気がする。そういうのは僕が読んできた物語では重要な人物だった。なにかあるとは思ってた。それは当たってた。

 やっぱり意味深な事を言ってくる誰かは重要な人物なんだろう。まあそういう事をノリで言ってくる奴もいるだろうけど……でも僕は先入観で彼をみてた。


 それこそLROの開発者。フルダイブゲームの始祖。そんな先入観。LROを体験してたからこそ、その言葉の意味がどれだけ凄いかわかった。だって考えてみてほしい。数学のどんな難解な問題を解いたとしても、それを僕たちが実感できることってある? その内それを実感出来る時代が来るのかもしれないが、それを知るすべって僕たちにはないと思う。

 でも彼の功績は僕はその身で感じてた。だからこそ、凄い人――というのに実感が乗っかってた。だって自分で体験してるんだからね。だから余計に大きく、そして凄いってのをのっけてたのかもしれない。

 実際凄いのは間違いない。彼が天才なのも間違いない。全て事実だ。でも、当夜さんも人間なんだ。たった一人の人間。その人間という面を前は見てなかった。見せてなかったのもあるだろう。

 でも今……目の前にいる当夜さんはずっと近い。これまでよりも全然近い。そう感じる。だから彼を一人の「人間」だと思える。


「とりあえず、こいつは連れて行っていいですか? これ以上当夜さんのお世話だけされても困るんです」

「おい、俺がまるで懇願してこいつをとどめてるみたいにいうな。こっちだって迷惑してるんだ。小うるさいだよこいつ」


 僕の言葉にそんな風に返す当夜さん。いやはや、まったくもってよくわかる。がみがみ……とは日鞠は言わない。そんな奴ではない。頭ごなし……なんて愚の骨頂はこいつはしない。でも……やらなきゃいけない……日鞠の言ってることは正しいような、そんな風に思わせてくるんだよね。

 だからそれを受けて今まで不摂生だった当夜さんもこんな健康的になってしまったんだろう。

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