2619 前に進むためのXの問い編 1003
「当夜さん……わかります。きっと色々と心配することがあるんですよね?」
心配する事? 僕は日鞠の言葉に首をかしげる。どういうとだ? ってね。日鞠はそんな僕を見て片方の目だけをパチリ――とウインクさせる。それもきっと「任せて」とか「大丈夫」――という意味が込められてると思う。
適当……に言ったことじゃないということだろう。何かしらの「心配」する根拠……というのがきっと日鞠にはある。
「例えばそう……自分がいつまで、この世界で保ってられるか……とか?」
ぎゅっ――とその時当夜さんがテーブルに置いてた手を握ったのを僕はみた。そして日鞠を睨んでる。
「お前な、それは……」
「別にちょっとした推察ですよ。ありえないことじゃないです。そしてその反応、当夜さんもそう思ってる。あんまりこの話題はまずいと思ってたので口には出さなかったですけど、正解みたいですね」
どうやら先に当夜さんとあってた日鞠はその疑問をずっと持ってたらしい。いやー僕はそんな事は思い浮かばなかった。だって当夜さんだよ? 天才だよ? こんなすごい世界を作りあげた当夜さんだ。
彼が自分の精神をどうやってか知らないが、LROへととどめた。その事実だけで……それができたってだけの結果で僕はそのさきをみてなかった。でも日鞠はみてた。その先を……
(いつまで……か)
確かにそれはあるのかもしれない。僕はちょっと考える。この世界にいるんだから、僕は単純に言うなれば「永遠」にここにいるのでは? と思った。だってわるいけど、リアルの方ではもう既に……となってる当夜さんだ。
でもその精神はLROの奥深くへとあった。肉体はなくても精神がここで生き続けるのなら……それならもう一度摂理と家族をやり直せるとおもった。だって時間はたっぷりあるんじゃないか……とね。
けどそれは僕の楽観的に考え……だったのか。それはそうだ。考えてみたら、精神がどこまで持つか……なんて誰もきっと知らないんだから。きっと誰も検証なんてしたことない。
今それを示そうとしてるのかまさにリアルでは肉体を既になくしてる当夜さん……ということになる。
「もう一度……もう一度あの子にサヨナラをすることになったらどうする? 二度も家族を摂理に家族を失わせるのか? そんなの……」
更にギュウウウウウ――と当夜さんは力強く拳を握ってる。