2613 前に進むためのXの問い編 997
ビビー
何回目かの頭に響くビープ音。それは拒否のサインだ。何回か視界を取り戻す為に当夜さんが仕込んだコードを取り除く為に僕は挑戦してる。でも今の所成功はしてない。思いつく限りの事はもうやってしまったぞ? 排除することもできなくて、このコードを迂回するコードを作ることもした。プログラムの優先順位を変える事も試みた。
そして今さっきしたのはこの視界をオフにするスイッチコード後にオンにするコードを書いた。それなら流石に視界が元に戻るだろうと思った。実際一瞬見えた。けど次の瞬間、電源プラグを無理矢理抜いたテレビのようにプツン――と視界が再び暗転した。
「くっそう……」
「大人げないですよ当夜さん?」
僕が悔しさを口ずさむと日鞠が当夜さんに非難の声を届けてくれる。でも当夜さんは「ふん」と鼻を鳴らすだけだ。きっと彼はあのノートを見ることをやめないと、僕の視界を戻す事はしてくれないのだろう。
てか……
(そもそも僕は別にあのノートをどうしても見たい訳じゃないよな?)
ふと思った。確かに興味はある……でもどうしても絶対に観たいか? それも視界を犠牲にして……となったら別に……である。これ以上これで時間を無駄にするのも……だしね。当夜さんの夢やら野望がきっと書いてあるんだろうけど、実際この人はそんな夢、叶えてるんじゃないのかな? LROこそ、当夜さんの夢の体現……ではないのか?
ならば別にノートなんて……まああの分厚さだ。あの中にはそんな立派な夢だけではなく、自作の小説とかがあるのかもしれない。だからこんなに拒否してるのかも。
「えっと、別に僕はそんなにノートみたい訳じゃないし、見ないと誓います」
僕は片手を軽く上げてそう宣言した。すると日鞠が「ええー」と不満を漏らす。そして当夜さんがこういってきた。
「こいつに後から聞くのもだめだ。絶対に内容を知りたがらないと誓えるか?」
そこまで用心されたら逆に興味がわくというか……てか、別に誓ったとしても後で日鞠に教えてもらえば、それを知る術なんてきっとないだろう。ズルいけど……でもここまで拒否って興味を引く当夜さんが悪い。
だからまあここではちゃんと誓っておくか。
「誓います」
僕はそういった。するとシステム音がピロン――と聞こえてこんな表示が出てきた。
『誓いを破ったことが確認されたらすべてのステータスが1になるペナルティが履行されます。ちなみにこの罰に期限はありません』
おいおい、めっちゃ厳しい罰が組まされてるんですけど!?