2611 前に進む為のxの問い編 995
僕は今、コードだけの人間になってる。いや、元々がこの場所、LROでの人間という皮をはいだら、皆がこんなものだろう。だってここでの肉体はそもそもが血肉が通ってるわけじゃない。そんなのは誰もがわかってた。誰もがデータ……それが真実。
だからこのコードだけの見た目が、本来のここでの姿……なんだろう。自分がこんな姿だったなんて、もしかしたら忌避感を持つ人もいるかもしれない。でも……僕は案外スッと受け入れる事が出来た。
そんなに自分に関心がないから? かもしれない。寧ろ誰もがこんな風なのはある意味僕的には納得というか? だって僕なんてなんの特徴もないような……そんな奴だしね。誰もがこの人型のコード人間なるなら、誰もが見分けなんてつかなくなるだろう。
そんなコードの人間の中に埋もれる。それはとても僕らしいと自分で思う。けど、日鞠はそんな風には僕を見てはない。僕の評価と日鞠の評価は違う。だから僕は無理でも、日鞠は出来る――という。
「大丈夫」
そんな声が僕の背を押す。これから挑むのはLROを創った人。まさにこの世界を作り上げた創造神……まさにこの世界の神とも言っていい人。そもそもがこのコードは事態が多分当夜さんのオリジナルだ。
オリジナルのコードなんて作れるのか? とかおもうが、多分出来るんだろう。でもそれは同時にそれだけ理解が深いから出来る事だとも思う。全く持って僕の経験値と当夜さんの経験値は違う。
けど、案外早く、違和感……当夜さんが送り込んできたコードを見つける事が出来た。
「うん、やっぱりスオウは目が良いね」
「見てないが?」
目でこれを見つけた訳じゃない。けどそういったけど、日鞠だってそれはわかってる。僕が今は『見てない』というのはだ。だからこの『目が良い』というのは言葉通りの意味じゃないんだろう。
「スオウは今見てないけど、見てるでしょ?」
とても哲学的な事を言い出した日鞠。でも……否定はしない。僕だってそれ――で納得できるからだ。見てない……けど僕には見える。眼球を通して……光を受けて僕は今はみてない。でも……そうじゃない見方……をしてるのは事実だから。脳内で見てる……というのかな?
「見つけたらあとはもう簡単だよ。どうしたらいいのか、スオウもわかるでしょ?」
本当はわかんない。でも、僕はやってみた。だって方法はいくつか思いつく。それを試そうと思った。もしも無理なら……その時また日鞠に相談しよう。