2609 前に進むためのXの問い編 993
もしもLROのコードに対する理解度を数字で表すとなると、マックスが10だとすると、きっと一番高いのは勿論だけど当夜さんの10だろう。その後に続くのは日鞠でどうなんだろう? 7とか? それに対して僕は3……いや、2くらいだと思う。
そんな僕が当夜さんが直々に施したコードになにかできる? ちょっと考えられない。全く見えないのは実際かなり不安にはなる。だって目を開けてる感覚はあるのに真っ暗だからな。脳がバグるというか? 理解できないことに人は恐怖を感じる。
だから自分の心拍数が上がってるのがわかる。
(落ち着け。落ち着け自分。ここに危険はない)
これはただの戯れみたいなのだ。別に僕の視界を奪ったとて、当夜さんが僕をどうしよう……とかいう気はないだろう。そもそもが今はセツリは僕の家に住んでるのだ。僕になにかあったら、困るのはセツリだ。
妹を困らせるようなことはしないだろう。危険はないと言い聞かせて心を落ち着かせる。
まあ実際、当夜さんが僕に対してどう思ってるのか? はわかんない。でもきっと大丈夫。そもそも勝手に託したのも当夜さんなのだ。
「大丈夫だよスオウ」
耳元で震える空気を感じる。吐息がかかる。それに……重なる手。きっと僕を安心させるためだろう。日鞠の暖かさを感じる。それだけで安心感が上がる。
「きっとできるよ」
「お前は、僕に期待しすぎ何だよ」
僕は常々に思ってることをいった。僕は日鞠とは違う。突出した頭の良さとかないんだ。僕はなんとか平均にいれるくらいの頭でしかない。それに対して日鞠も……そして当夜さんだって間違いなく『天才』だろう。
そんな日鞠にできるって言われても……いや日鞠だから根拠がないとは思えないけどさ。そもそもまだ何も『見え』てもない。でも僕の言葉を聞いても、日鞠「ふふ」っていうだけだ。きっと笑ってる。その信頼に曇りはないんだろう。
その期待に応えるのがどれだけたいへんか。
「外の目に頼る必要ないんだよ。そもそも見る必要なんてない。わたしたちはちゃんと受け取ってる。そのデータを。だからこそ、私達はその影響をLROで受けるんだよ」
なるほど……確かにそれはそうだ。僕がこうなってるも、そのこうなるコードを受け取ってるから。システムに介入していじってるからだろう。つまりはすでに僕はそれを知ってることになる。確かに外を見る必要はない。見るのは……中だ。