2606 前に進む為のxの問い編 990
「さてさて、いったい何が書いてあるんでしょうね?」
クスクスとしながら日鞠が当夜さんの黒歴史ノートを開こうとする。けど……
「むむ……」
日鞠は何とはなしに本の表紙を開こうとした。けど、なぜかあかない。勿論だけど、その本には鍵とかない。でも、開かないようだ。その理由はめいはくだ。
「そんなに見てほしくないんですか?」
「君にだってあるだろう? 見てほしくない物の一つや二つが?」
「ないですけど?」
きょとん……という感じで日鞠はそういった。でもこいつならそういうだろうなって僕は思った。でもそこら辺は当夜さんはわかってない見たいだ。そこにちょっとした優越感がある。僕の方が日鞠をわかってる……というね。当然なんだけど、ちょっとくらいはマウントとってもいいだろう。
僕は当夜さんに見えるように肩をすくめた。それには「こいつはこういう奴ですよ」――という意味が込められてる。
「無駄なあがきですね」
その時、僕の目には日鞠の奴の目に、コードが流れたのが見えた。普通なら見えないだろう。でも僕のこの目なら見える。てかなにそれ? である。そんな事前は出来なかったよな? 前はちゃんと書いてたじゃん。今はそれすらしなかったぞ。
そして当夜さんがしてたロックを外して表紙があが……
ガキン――
二割くらい表紙が上がった時、再び動きが止まる。どうやら二度目のロックを掛けたらしい。当夜さんも何もしてないように見える。まあけど彼はここと溶け合ってるような存在だろう。だからまだわかる。でもそれもほんの数秒のロックだった。日鞠の奴は簡単にといた。
「お前!?」
「どうしました?」
素早く日鞠は表紙を開いた。その間にもなんかやってたのかもしれない。攻防がね。起こってたのかもしれないが……僕にはわからない。それにもう開いた。こうなっては妨害のしようがない……とか思ってたけど、いきなり目の前が真っ暗になった。
どうやらとても強引な手段に当夜さん出て来たらしい。けどすぐに僕の視界は戻った。ニコッと日鞠が笑ってくれる。見えるようになったとわかってるからだろう。つまりは再び日鞠が当夜さんのコードを解除した。
「見えなかった筈だが?」
当夜さんも驚愕してる。それはそうだろう。きっと日鞠だって見えなかった筈。でも……コードを駆使して日鞠は当夜さんの施した機能を解除した。一体どうやったんだ? と思うのは当然。僕はまあ……日鞠だし? と思うけどね。でもどうやったのかは気になる。