2590 前に進む為のxの問い編 974
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
当夜さんの気合の入った一閃。彼の剣がティラノサウルスの喉の部分に深々と刺さってた。最後は顔を向けてきたティラノサウルスに向かって逃げることばせずに逆に向かって言った当夜さん。上手くスライディングをして、ティラノサウルスの口を回避。そして顎の方に回った彼は、急いで切り返して、その喉に深々と剣を刺したのだ。
ダメージの蓄積……当夜さんの戦闘は決して派手ではなかった。堅実で、ちょっと危なっかしい方だった。何度手を出しそうになったか。でも堅実に彼はティラノサウルスへのダメージを蓄積させていった。そして今のが、最後の止めの一撃になった――というわけだ。
ぐらっ――とティラノサウルスの体が横に傾いた。そして地面を揺らして、その巨体が倒れた。そして体が分解していき、オブジェクトと化したティラノサウルスは消えていく。
パチパチパチパチ
僕は彼に拍手をおくる。危なっかしかったが、結果的には当夜さんは一人でティラノサウルスを倒すことができた。それは素直に凄いと思った。派手なスキルとかとても強力な武器を使ってる……とかなかった。ただただ、地道に、そして堅実にやって倒したんだ。実際開発者の当夜さんなら、最強武器とか召喚できそうなのにね……
「はあ疲れた」
そういって尻を地面について、剣だって傍に放り投げてる当夜さん。風景もティラノサウルスがいなくなると同時に、真っ白なただ広い空間にかわってた。
「で、なにやってるんです?」
それである。ティラノサウルスとの戦いは楽しかった。ハラハラとドキドキ感を味わえるなかなかに楽しいコンテンツだったと思う。けど……なんのためにあんなことをやったのか? はわかんない。だからとりあえずなんであんなことをやってたのか聞くことにした。
「テストとでもいおうか? ちゃんと倒せるかのな」
なるほど、自分自身で倒せるかどうか? を検証してると……いやいや、なんでそれを当夜さんがやるんだよ。おかしいでしょ。そもそも開発陣は当夜さんの存在がここにある……なんてしらないだろうし?
「それは本当ですか?」
僕は疑いの目を当夜さんへと向ける。流石にその説明では納得できないというか? そう思ってると、いきなり扉がこの空間に現れた。そしてその扉のノブがガチャっと回って開く。すると聞き覚えのある声が聞こえて来た。
「ご飯できましたよ~」
それは間違いなく日鞠……ここでは会長か……だった。