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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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2589 前に進むためのXの問い編 973

 凶悪な瞳が僕達を捉える。そしてティラノサウルスはドスドスと地面から振動を伝えるように走ってきた。頭を下げて、今にも倒れそうな程に……って、いやいや本当に倒れてきたよ!! 頭を押し出して地面を削りながら迫ってくる。


 でもそれはある意味で理にかなってるのかもしれない。だって僕達人間の男性が身長的に170くらいだろう。それに対してこのティラノサウルスは5メートル? 8メートル? とりあえず僕達よりもずっと大きい。これだけで武器だ。その巨体を押し付けるだけで普通なら僕達人間なんて殺せるんだ。

 だからその質量を押し付けようとしてくる気はとても理にかなってる……といえる。まあでもここはLROである。普通の身体能力なら、この最初の一回で僕達はこのティラノサウルスにすりおろされるようにしてぺしゃんこになってたかもしれない。自分の骨と内臓が砕ける音を聞いて息を引き取ってたかも……けど何度も言うけどここはLROだ。

 僕も……そして当夜さんだってやられてなんてない。僕はとりあえず避けた。まっすぐに向かってくる相手をかわすなんてのは簡単だ。それに驚いたけど、決してティラノサウルスは規格外に速いわけじゃない。いや、でかいから勿論速いけどね。

 けど姿が見えなくなるような相手ではないからね。僕はそれで大丈夫だった。じゃあ当夜さんは? というと、彼はその小さな盾でティラノサウルスの突進を正面から受け止めてた。いやこれはちょっと違うな。

 受け止めてた……と書くと、拮抗してるように思うだろう。でもそれは違う。拮抗はしてない。彼は耐えきれずに後方に吹き飛んでた。ダメージは盾が引き受けてくれたのか、そうでもなさそうだけど……流石にあの小さな盾じゃあね。無理があったらしい。全身を覆うほどの大盾なら受け止める事もできただろうが、当夜さんが装備してたのは小ぶりな……それこそ鍋の蓋サイズの盾だったからね。あれで受け止められてたたら、このティラノサウルスだって面目が丸つぶれだろう。


 ネット上ではどんどんその凄さが失われていってるティラノ君である。その生態が解明されるたびに弱体化されてるといっても過言じゃない。でもここでなら……このゲーム中でなら、脅威的なティラノサウルスであってもいい。

 実際見た目は本当に強そう。てかこれがリアルならここから立ち上がる……とかできなさそうだよね。だってティラノサウルスの前足はとても短い。あれでは体を支えるとかできなさそうだし……でもここのティラノサウルスはちゃんとなんの問題もなく立ち上がった。そして避けた僕ではなく、当夜さんを狙い目だと思ったのか、みてる。そしてそのまま大きな口を開いて食いつきにいった。


 それをゴロンと転がって回避する当夜さん。その動きはシステムの補助があるのか? と思える程にちょっと情けない。なんか運動神経が悪いのかにじみ出てるかのような? ここは僕がこのティラノサウルスを倒したほうがいいかも。でもこれを出したのは当夜さんみたいだし? 何かをやろうとしてるような気がする。

 それに不格好ではある……が、なんとか持ちこたえてるのは事実だ。ある意味、いい運動をしてる……といえるのかもしれない。いや、ここLROなんだけどね。


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