2588 前に進む為のxの問い編 972
リアルに戻ってこれなくなった日鞠。日鞠を迎える為に向かった月で妖精王と対峙して、彼から預かった手紙に残されてたコードを解読して、深い深いシステムの奥へと落ちていった。そしてそこで出会ったのは……日鞠……ではなくてLROの開発者の当夜さんだった。
彼は摂理の兄だ。システムをリセットする前に一度だけあったことがある。そしてそれが最後……みたいなことを言ってた気がするが……なんと再会である。
「君たちは、全くもってデリカシーというのがない。どっちも勝手に押しかけてくるなんてな。同じ場所で育ってるから同じ考えに至るのか? だがそれでは個性は生まれない筈だ。けどそんなわけはないだろう。これは一体……」
何やら当夜さんがブツブツと言いだして自分の世界に入っていく。えっと……これはどうしたらいいのか? てかここは? なんか前のまさに引きこもってゲームを開発してます……というような感じではなく、なんか冒険者みたいな恰好をした当夜さん。まさかとは思うけど、彼もLROをやってる……とか? 実際LROには数百万のプレイヤーがいる。今だってどんどん増えてる筈だ。
そうなると、もちろんだけど一回も出会ったことないプレイヤーは多くいるだろう。それに当夜さんは別に顔が知られてる訳じゃない。開発者だからって顔写真が広まってる訳じゃないからな。
それなら一プレイヤーとしてプレイできると思う。でもそもそもがLROはキャラメイクできる。僕自身がキャラメイクの対象から離れてるから忘れそうになるけど、全くの別人になる事はLROなら簡単だ。
そうやってプレイしてるのかもしれない。
とりあえずなんか思考の海に入ってる当夜さんを引き戻すことにした。
「えっと、ここで何を? それにその恰好……」
「ああ、これか」
僕の言葉に当夜さんは思考の海から戻ってきた。両手を軽く上げて、自分の格好を見せてくる彼。そしてパチン――と指を鳴らす。するとこの広い白い空間に変化が起きた。まるで次々にオブジェクトがおかれていくようにでてくる。そしてそこはなんか暑くて岩がごつごつとしてるフィールドになった。さらにさらに目の前に線が引かれていって、それが集まって一つの存在になっていく。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
そんな咆哮を上げたのはティラノサウルスのような……そんな見た目のモンスターだっだ。