2582 前に進む為のxの問い編 967
「ねえねえ」
そういう風に言ってティアが妖精王へと話しかける。妖精王はティアに駄々甘である。だからもしかしたら案外ころっとその目的をこぼすかもしれない。けど……
「みてみてローレ! 飴もらった」
ティアの奴は簡単にあしらわれて私の元へと戻ってきた。むむむ……この状態のティアではダメか。妖精にしては賢いし思慮深い方だと思うが……だって私もただのバカと話すのは頭痛くなるから嫌だ。普通の妖精は私の頭を痛くさせそうな連中だった。でもティアはもうちょっと賢かった。
そもそも出会ったときはもっと賢かったしね。今の状態はティアの力を制限してるのが原因だ。なんか力を制限してる状態だどティアの頭も弱くなるっていうね。そんな制限がかけられてるのだ。
だからあんま期待はしてなかった。もっと力を開放すれば……とも思うけど、今の所妖精王は戦う気がなさそうだし、そうなると無駄じゃん? ならばティアの力を開放する理由がないんだよね。
ゴーンゴーンゴーン
そんな鐘の音が響く。今までそんなのがあったのもしらないかったが、そもそも本当に鐘があるのかもわかんないが、確かにこの月の地にその鐘の音が響いてる。
「鐘の音?」
私は空を仰いでそうつぶやく。まあ空はないんだが。見えるのはいつもの大地よりもよっぽど近い宇宙だ。ジャンプをしたらそのまま宇宙へと飛び出せそうな程に近い宇宙。
「全く、無茶をするやつ」
「セラ、スオウは?」
「きっとシステムに入ってるのでしょう」
セラはいつの間にかスオウを支えてる。流石は色んな事に気づくセラだ。私は全く持ってスオウの事なんてきにしてなかった。だって私はコードなんて見れないし? 気にした所で意味ないでしょ? って思ってたからね。
それに集中してる時には一人にしてほしいものだろう。適当に声をかけてたら逆にイライラってしない? だから私はなるべく気にしないようにしてた。でもどうやらセラはちょくちょくと気にしてたらしい。
そうじゃなかったら、いきなり倒れそうになったスオウを支える……なんて出来ない筈だ。スオウにはかなりの塩対応をいつもしてるくせに、そこら辺はやっぱり優しいセラである。
「そうなんでしょ? 妖精王?」
「私だってそこまではわからない。だが、システムの全てが反応しないようだ」
何やら妖精王は空中に指をもっていってる。ウインドウを表示させてるみたいだね。妖精王はNPCだけど、彼は月のシステムを利用できるようだからあれはウインドウを操ってるときの操作で間違いないと思う。
妖精王の操作も受けつけない……か。そんなことを考えてふとセラの方を見ると……
「あらら」
なんとセラがスオウを膝枕してるんですけど?