2574 前に進む為のxの問い編 959
「どうした……セラ?」
「ここは静かにしておきましょう。それよりも……邪魔しないんですね」
セラは妖精王へとそういってる。私は突然紙に視線を落としたまま、何も言わなくなってしまったスオウに声を掛けようとしたんだけど、それはセラに止められてしまった。てかセラだけじゃなかったみたい。
「むーむー!」
そんな風にアーシアが頬を膨らせて私の服を引っ張ってる。どうやらアーシアもセラと同じ気持ちだったみたい。セラの圧の方が強かったから気づかなかったよ。
昔はもっとセラは従順だったんだけどね。まあそれが不満ってわけじゃない。だって……ね。セラももう一国の主。威厳は必要だろう。頑なに周囲には秘密にしてるけど。
きっとセラも私を見て、上に立ちたいと思ったんだろう。うんうん、私って最高の上司だからね。それは私のチームが証明してる。私のチームには入りたい奴は沢山いるが、出ていきたいといってる奴はいない。これは脅威的である。
だってそれこそ一番のチームであるテア・レス・テレスは出入りは激しいらしい。まあ幹部級になると寧ろ誰も出ていきたがらないみたいなことは聞くけどね。でも私のチームだって負けてない。
そもそも人数差がある? そんなのはしらないね。そもそもがテア・レス・テレスは来るもの拒まず、去る物追わずだから、入るのも出るのも自由ではある。
それに一番大きなチームだから、とりあえずテア・レス・テレスに入っておくか……という初心者が多い。そしてなれてきて気が合う仲間とかと知り合っていくと、テア・レス・テレスから卒業して自分たちのチームを作っていく……みたいな流れがある。
だから確かに流入が激しいのも当然と言えは当然だ。私のチームは招待制で勝手に入るなんて事はできない。それに出ていくのだって自由じゃない。
そこまで厳しい訳じゃないが、やっぱり情報は管理しておきたいじゃん? セラの方はもっと秘密主義だしね。そもそもがあれだけオープンにしてても成り立ってるテア・レス・テレスがおかしいというか?
「邪魔とは?」
「どうやら彼はきっかけをつかんだようですよ? このままじゃ道を見つけるでしょう。会長が戻ってきますよ」
「まるで私がそれを願ってないようだな?」
「そうじゃないと?」
妖精王とセラはそんな会話をしてる。さすがに完全に警戒を解く……なんて事はないが、案外普通に会話が出来てる。妖精王はこっちと違って完全に警戒を緩めてるように見えるし……戦う気はない?
「簡単じゃない事くらいわかってた。でもそれはお互い様。それに私は望んでる。彼女が本物の月の女王になることを」
迷わずに妖精王はそういった。