2570 前に進む為のxの問い編 955
「こほん……それは私をからかってる……とかじゃないわよね?」
セラが厳し目な顔を作ってそう言ってくる。確かにそんなことを言いたくなる気持ちもわかる。だって僕だって今の言葉を聞いてもすぐには信じられないだろう。だってそんな立方体的にコードを書くことにどんな意味が有るのか……僕にはよくわからない。
これが日鞠の嫌がらせじゃないのなら……あいつはそんな事するようなやつじゃないが……きっと意味がある。もしかしたらこうやったほうがコードを詰め込めるとか? 僕にはわからない。だって読めないんたがら。それを今はまだ確認することもできない。
「今は一刻を争うんだぞ? そんな事言うと思うか?」
それに対してセラは何も言わない。きっと納得したからだろう。これまで僕は一刻も早く日鞠を助けるために動いてた。それをセラだって見てた。だからだろう。僕がこんなことで適当な事を言っても、それはただ無駄に時間を浪費するだけだ。だからこそ、セラは納得したんだろう。
「会長はきっとあなたにこのメッセージを残したはず。そうでしょう?」
少し考えて、セラはそう言ってくる。それに僕はうなづく。僕は一回うなづいたけど、僕に抱きついてるアーシアは何回もうなづいてた。
「彼女はとても……こんな言葉じゃ足りないくらいに聡明なのは知ってます。そしてあなたの彼女」
それは関係有るか? ちょっと恥ずかしいぞ。
「そんな会長があなたが読めないようなものをわざわざ残すなんて思えません」
「それは僕だって同じだよ。でも実際……」
「会長の見立てよりもスオウが劣ってたんじゃない?」
「うぐ……」
「痛い! 痛いよスオウ!?」
ローレのやつの配慮の欠けらもない言葉。僕は思わず抱いてるアーシアに対して力を込めてしまったみたいだ。だってそんなにストレートに言われると……ね。しかたないだろう。
「ご、ごめん」
僕はアーシアに謝る。とりあえず力を緩めて……やっぱり僕が至らなかったのか……と思った。すると――
「違うよ! 違うよローレちゃん!」
そうアーシアが叫んだ。その叫びにその場の皆がびっくりしたよ。一体どうしたのか。僕をかばってくれるのは嬉しい。けど事実として、僕は日鞠が残したコードを読めない。それが事実だ。
「めっ! スオウめっ!!」
なんかそういってポカポカとしてくるアーシアだ。その必死さに何かあるのか? っておもった。