2567 前に進む為のxの問い編 952
「おーい、わかった?」
僕をのぞき込むようにしてローレが顔を出した。何分くらい経ったのかわからないが、どうやら僕が無視し続けてたからローレの奴は強硬手段に出たようだ。
「お前な……」
邪魔するなよ……と言いかけたが、そんな僕に対してローレの奴はなんか似つかわしくない、優しい顔をして紙を持ってる僕の手に触れてくる。ローレの小さな手は僕の手を包み込む……なんて事は出来ない。
でも柔らかさとそのしなやかさが男子である僕をドキッとさせる。なんのつもりだ? なんか気持ち悪いぞ。確かにドキッとするけどさ、でもローレの性格を考えたらむしろ「え? なに?」――という気持ちの方が大きくなるというか? ハニートラップ的な事? でもローレは自分自身でそれをやるような奴じゃない。
自分を高く見せようとする奴で、自分を貶めるような……そんな事はローレはしないからだ。だからわざわざこんな……女を意識させてくるような事をこいつがするのは珍しい。
「心配、かけてるわよ」
そんな風になんとか顔を近づけてボソッと言ってくるローレ。それでハッとした。心配してるのは勿論だけど、ローレでも無ければ、セラでもないだろう。この二人が僕を心配? ないない。妙な信頼がある。
だからその二人以外となると、もう後は一人しかいないよね。つまりはアーシアだ。ローレの奴がすっと僕から離れると、更に縮こまって僕を見上げてる存在が顔を出す。
うん、やっぱりアーシアだった。アーシアはウルウル……なんて表現は足りないくらいに目から涙をボロボロとだしてた。さらには鼻水も……女の子なんだからもっと気をつけなさいって言いたい。
幼女の精神のまま、見た目16歳くらいまで育ってるから見た目に反して精神が幼いんだよね。そのせいで大変な事になってる。まだローレはギリ中学生か、小学校高学年くらいの見た目だから変なことをしても子供だから……と思われるだろう。いやあいつの場合は狙ってるけどさ……てもアーシアの場合はそこに打算は一切ない。
だから同じ年代に見える女の子がボロボロと泣いてる……というだけでも結構動揺するものだ。
「ご、ごめんアーシア。大丈夫か?」
思わず謝って僕は膝をつく。するとすぐにアーシアは顔を泣き顔から華やかな笑顔にして抱き着いてきた。情緒よ……ふり幅がおかしい。けど同じ年ごろではなく、アーシアは精神は幼女なんだ。
だからここで拒絶なんてしない。したらまた大泣きだろう。だから僕は受け入れた。すると僕の首に腕を回してアーシアはこういった。
「スオウ、スオウ! 私達もいる!」
ってね。