2560 前に進む為のxの問い編 945
「セラ、そこを退け」
僕は前に立つセラに向かってそういう。だって流石にローレの極大魔法もどんどんと細くなっていく。最初はどんどんと太くなっていた。けどもちろん限界はあるんだろう。そこから魔法は縮小に向かってる。
早く動く必要があるんだ。妖精王は強敵だ。そのくらいセラだってわかってるだろう。やれるときにやらないと。でもこいつには僕の気持ち? なんてのはなんの酌量にもいれないだろう。
だってこいつの一番は前からローレだった。ならそこから攻めるべき。僕が睨んだ所でセラはどこ吹く風のように微動だにしてないし。
「お前もローレの魔法を無駄にしたくないだろう?」
「無駄にしようとしてるのは貴方ですよ」
すぐにそういってきた。僕がローレが作ったこのチャンスを無駄にしようとしてる? なんでだよ? 一世一代のチャンスだろう。それに逆に妖精王が動くとしたら、狙われるのはこの場合はローレの確率は結構高いぞ。なにせこのゲームにはMPなんてないし? これだけの魔法はそれこそ連発は出来ないだろうが、時間があればまた撃てる可能性があるんなら、妖精王からしたらこんな魔法を手札に持つローレは真っ先に倒しておきたい相手だろう。
それとも、セラはこれで妖精王が倒れたと思ってる? ならちゃんと今の事実を教えてやる。
「妖精王はまだ生きてる。次に真っ先に狙われるとしたらローレになるぞ」
ローレの身の危険……それを聞いてセラはぴくッとちょっと反応したのが見て取れる。僕の目はごまかせないぞ。その瞬間、僕は動いてた。さっきから隙を伺ってたんだ。
だから心にちょっとした隙ができた瞬間を僕は狙った。セラに付き合ってる場合じゃない。僕は早く日鞠を助けないといけないだ!
でも……
「私を出し抜けるとでも?」
僕がセラを通り抜けようとしたルート……そこには予め聖典が配置してあったらしい。ガツンと派手にぶつかってしまった。周囲に同化してた一つの聖典が僕にぶつかったからかその姿を現してた。今の隙もワザとか。
「くそっ……」
痛い……てかこんなのにも気づかないなんて……コードを見る目を利用できてたら、こんなのに気づかないなんて事はなかった。でも今はこのローレの魔法のせいで情報過多になってしまう性でコードを見る目にはしてなかった。
だから周囲と同じような色になって溶け込む、光学迷彩的なスキルなのか機能なのかわからないが、それを使ってた聖典に気づくことができなかった。