2559 前に進む為のxの問い編 944
これはチャンスでもある。確かに月のシステムに妖精王は守られてる。でもこれだけの魔法なら色々とシステムだっておかしくなっててもおかしくない。これは守ることでもある。
いち早く敵を倒す。それはとても重要な事だ。別に仲間を見捨てようとしてるわけじゃない。僕は自分ができる最善手を打とうしてるだけ。それにアーシアはローレの傍にいた。
いまここで一番安全な場所といって言い。そう、だからここは僕は前にでる。それが一番正しい。間違いない。僕は視界をコードを見る目にして、光に包まれてる妖精王を見つけようとする。すると……
「くっ」
なんとまあ……だった。どうやらこの魔法。僕が思ってるよりも数倍はヤバそうだ。コードを見るために視界を変えた瞬間、エマージェンシーが視界をいっぱい覆った。どうやらやっぱり本当なら破壊不可能なオブジェクトが次々と破壊されていってるから、システム上ではエラーというか、警告が鳴り響いてるみたいだ。そのせいでコードを見るための視界が余計なことで埋め尽くされてる。
「これじゃあ……いや……」
僕は目を閉じた。今までどんな時だって僕はこの『目』に頼ってきた自覚はある。なんやかんやあっても、やっぱり目は一番の情報源だ。それが他人よりも優れてたら、頼ってしまっても仕方ないだろう。
でも今、僕は目を閉じた。ここまで視界が両方で役に立たなくなるなんてことはなかった。でも迷いはない。だって、僕は前に進むと決めてる。それに確信出来てた。あれだけシステムに過負荷を掛けたようなメッセージ。月のシステムにもかなりの負荷がかかってるはずだ。
それならやっぱり今はチャンスなんだ。だから視界よりも『風』に集中する。風なら今や自身の体の延長線上のように操る自信がある。それに風はただの武器じゃないし、移動手段でもない。沢山の事を教えてくれる。
だから風から情報を貰う。色んな風が僕に妖精王の居場所を教えてくれる。フラングランに風の渦ができる。それだけじゃない。それが腕までを飲み込んで、更には足にも風の渦ができた。
そして体が地面から離れる。一メートルくらいだろうか、僕の体は浮いた。なかなかにバランスをとるのが難しい。スピードを出せば、安定するだろう。だからはやくいかないと。
この魔法だってそんなに長くは続かないだろうしな。これで決める。その心意気だ。僕は動き出す……いや動き出そうとしたその時だ。いつの間にかセラの奴が僕の前に凛と立ってた。