2552 前に進む為のxの問い編 937
ふむ……すぐに始まった妖精王とのバトル。私はそれを後方で観察してる。
「いやー大変ですねー」
「あんたは参戦しないの?」
「私があの中に入っていって何かできると思います?」
へらへらしつつタユンタユンとその胸部装甲を揺らすのはメカブちゃんだ。私はそれほど親しくない。そんなにかかわりないしね。それに向こうは今みたいに見た目幼い方の私にへこへこしてる。スオウとかにはもっと中二病全開でバリバリと絡んでる印象だが、私にはそんなことはない。
きっとまだ心を開いてないのだろう。どう接していいのかわからないから、とりあえず誰にでも悪印象を与えない敬語を使ってるって感じだ。それに私がそれなりに大きなチームのリーダーとは最初に会ったときに自己紹介でいってたからね。
そこら辺も関係してるのかもしれない。この子、権力とかに弱そうだからね。
「会長……の事、助けたいと思ってるのよね?」
私は今までの態度でそれを疑問に思ってる。てか、私よりも会長と仲が深い筈。リアルでも知り合いだろうし……なのにこのドライ感よ。勝手な想像で悪いが、この子はそんなに友達が多いと思えない。
それは私も言えた事じゃないが……そんな彼女にとっては普通に接してくれる会長のような存在は貴重な筈。失いたくないとか思ってないのだろうか? 彼女からは必至感? みたいなのが感じれない。だからそんな言葉が出たんだろう。
「助けたいですよ。でも、私はヒーローじゃないですから」
なるほど、確かに会長にとってのヒーローはスオウだろう。それは否定しない。彼等の関係を知ってるのならば、それは疑いようがない。でも友達として……という気持ちはないんだろうか?
「それにですよ。考えても見ください。会長……が私達の助けなんて必要ですか? あの子チートですよ」
まあ確かに……と言おうとしたけど、ここは無言を貫く。確かに会長は凄い奴だ。でもどうにもならない事ってあるとは思う。どうやらこの子が余裕そうなのは会長への信頼なのね。
それは会長の場合考えられる……けど……
「友達を心配するのも大切ですよ」
そんな事を知った風にいう。私はもっと打算的だけどね。とりあえず今回首を突っ込んだのは会長に借りを作るためだ。だって、あのチート女に借りなんて普段は作れない。今回会長が勝手に戻ってきたとしても、彼女は義理堅い。だから私も動いたという事実が大切なのだ。
実際もうそろそろ会長が自力で戻ってきてくれたら、楽できていい……くらいはおもってる。