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命改変プログラム  作者: 上松
第一章 眠り姫
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マッドサイエンティストの憂鬱

 僕達はまたまた第四研究所へと舞い戻る。どうやら僕達はここにとことん縁があるみたいだ。そして早速屋上へと行き、所長に話しかける。するとそこで僕達は恐ろしい事実を知ることになった。


 僕たちは再び第四研究所を目指すことにあいなった。バカラが垂れ流した話を道中で話しながら、僕たちは混沌が更に入り乱れた様な通りを抜けていく。

 でもまだここら辺は大きなビルも建ち並ぶ側だ。デッカい道路に面してるんだからまあそれは当然。更にここからちょっと忘れ去られてそうな方へ行けば……既に何回も通った道。アプローチが変わっても、何となくでいけるものだね。

 第四研究所はビルの隙間のボロいビルだから見落としそうに成るけど、なんとか見つけれた。ここまで来る過程で気付いたけど、なんだかまだイベント組は活気を取り戻してる様だったよ。

 やっぱり色々と情報があがりつつあるのが大きいのかもしれないね。みんなこの暑さにやれてたりしてたのに、もしかしたらの可能性が手に届きそうに成ると、途端に希望を見いだすようだ。まあ良いけどね。


「あのお爺さんは違うわよね。確かここの所長って屋上に居た方か」

「だな」


 白衣着て、屋上で黄昏てた奴。アイツがたしかここの所長だった。最初に僕が流行アイテムを貰った奴だしね。だから外の爺さんは無視して早速階段に挑戦だ。んな高くないからって、階段は鬱陶しい。

 何でわざわざ定位置が屋上なんだよと、何回も思うけど言いたい。文句を考えながら上ってると、案外直ぐにその扉は目の前まで来た。

 錆び付いた感が所々にある、安っぽい扉。よくよく見たらさ、これってデカデカと立ち入り禁止のシールが貼ってあるよ。

 だけど屋上にあのNPCが居るとわかった時から見なかった事にしてるから、僕は躊躇無くドアノブを回して扉を開ける。


 換気扇が回る様な音が耳に届き、暗かったこの場所に強烈な日差しが真っ白に成って差し込む。風は蒸し暑さまで一緒に運んで来て、僕達は目を細めながら屋上へと出る。

 太陽に近くなった分だけ、僅かに暑さが増したような感じがするのはきっと気のせいだよね?

 この程度の高さじゃ変わる訳もないんだけど……てか高い方が涼しかったりするよな。山とかそうだし、完全に被害妄想か。


「私やっぱり影で涼んでて良い? 無限の蔵ガンバ」


 そう言って速攻で中に引っ込んだメカブ。実際そこもエアコンが効いてる訳じゃないし、そんなに暑さは変わらない筈だけど、気分の問題なのかな?

 日光を浴び続けるかどうかのさ。まあ女の子なら気にするだろうし……メカブがそんな普通の女の子とは思えないけど、あり得なくはない。

 僕は階段の所に座り込んだメカブから目を離し、スマホを屋上へと向ける。そこにはちゃんと目的のNPCが映ってる。風に白衣が翻りながらも、仁王立ちでブリームスを見てるその人こそが、この第四研究所の所長だ。

 僕は古ぼけたコンクリートの床を歩いて、彼との適度な位置まで行く。そして指でその姿をタップすると、振り返らずに『何の用だ』と言われた。そしてここで入力画面が現れた。

 なるほど、ここであの恥ずかしい戦士ナンバーとやらを入力しろと、そう言うわけか。


「ええと、戦士ナンバー0018――だっけ? これって四桁にしてる意味がないよな。どうせそんなに集まらないだろうし」


 だって最新である僕を入れて18って、せめて三桁で我慢しておけと言いたい。そんな事を呟きながらも、入力完了した文字を所長に伝える。

 すると明らかに反応が変わった。


『なるほど、君も戦士と言うわけか。なら私の本当の姿を教えておこう』


 本当の姿……実は既にバカラから聞いてるんだけど、無駄に白衣がバタバタしてるから、これも演出なんだろう。てか、こちらからは割り込めないから、気分良く喋らせるしかないんだよね。

 もったい付けずにさっさと言って欲しい。


『いいか、良くきけ新入り! 私こそがこの街の全ての科学者を出し抜く事が出来る驚異のマッドサイエンティスなのだ!!

 奴等の人身を考えないやり方は私の専売特許。そんなマッドサイエンティストは何人もいらない。よって私は私が天才だと裏付ける為にも奴等を出し抜き、アイテムを手にしなければいけない!! わかるな新入りよ』


 画面の中でシクラが耳を塞いで所長にゲシゲシと蹴りを入れてる。多分向こうじゃ相当うるさかったんだろう。けどシクラの蹴りなんて所長は気にしてない。

 てか、存在してない感じでスルーされてる。まあこのイベントのNPCはまさに今までのゲームの感じだから、プログラムされた事しかやれないんだろう。

 だからシクラに反応する事なんて無いんだ。何か違う事を言うのは、条件が満たされた時だけ。まあこれぞゲームっぽいと言えばその通りなんだけどね。

 LROの中では比較的自由にNPCも動いてるから、なんか時代が逆行してる様に感じる。あれこそ異常な筈なのに……いつの間にかLROに慣れてたって事何だろう。

 僕が画面の二人を見比べてそんな事を思ってる間にも、マッドサイエンティストな所長の言葉は続く。


『何? バカラの奴がそんな事を……フハハハハハハ、貴様は運がいいな新入りよ。そんな事を言われる前に我が第四研究所は、悪の組織第一研究所へのハッキングを狙っていたのだよ。

 奴等の行動がここの所活発になってるのでな。それに併せて国が隠してるアイテムの影響も活発かしてる。そろそろ大規模な何かをやるのでは無いかとこちらは睨んでるのだ!』


 よくもまあこれだけ声を張り上げる物だな。それって人に聞かれていいの? さっきからこの人の言ってることは、きっと下を通ってる人たちに丸聞こえだよ。


「大丈夫でしょ。こんな自称マッドサイエンティストの戯言なんてきっとここらじゃ日常なのよ。だから何をのたまったってこの人の痛い妄想としか思われないんじゃないかな☆」

「まあそれは言えてるな……」


 こんな奴が近くで吠え続けて、それにいちいち付き合う程、みなさん暇じゃないって事だよな。なんかアレだね。狼少年みたいだね。

 本当の事なのに、誰からも相手にされないって……狼少年はそれをきっかけに懲りるんだろうけど、この人は寧ろそれを狙ってて堂々とのたうち回れるのを楽しんでる感じだな。

 どうせ誰も信じないから、目一杯叫べる……みたいな。ある意味頭を使ってるのか? てか、そう言う設定てだけか。


『よし、貴様等準備は完了したか? そろそろオペレーションを開始したい頃合いだ』


 そう言って呼び出したウインドウに向かって呼びかける所長。ウインドウは三つ出てて、それぞれ別の奴に繋がってるらしい。


『オーケイですよ所長。いつでも出来ます。まあ成功するかの保証は出来ませんけど』

『ふん、大丈夫だ。俺はお前の腕を信用してる。自らの壁をぶち破れ』


 なんだか実行班はあんまり自信無いのか? 大丈夫かなこいつら?


『バレたら雀の涙程の補助金も打ち切りですよ。それどころか私達消されちゃうんじゃないのかな? ハァ~こんなしがない研究室に送られて人生終わりなんて、所長を呪わずには居られない……』

『案ずるな。私の作戦に間違いはない。今日という日を足がかりに我が第四研究所は、飛躍的進歩を遂げる!! まあもし失敗しても、その責任は全て私が持つさ。

 お前達はマッドサイエンティストに操られた哀れな子羊。それで通してやろう』

『そんな言い訳が通用するなら良いんですけど……未来がなくなる事に変わりないですよね~』


 なんかあんまりやる気も見えなく成ってきたな。マジでいけるのかこいつら? 話を聞いてると不安しか募らないよ。


『メガ爺、通りの様子はどうだ? オペレーション開始は近い、研究所には誰も入れるな。そして出来る事なら監視の目を欺くのだ!』

『監視などどこにもおりゃしないけど、やってみますわ~』

『ふっ、油断はするなよ』


 額に手を添えてなんかポーズを決めてる所長。なんかアキバが舞台だからって痛い奴が多いな。てか、あの爺さんは見張ってたのかよ。アンタの居場所を最初探して無かったっけ?

 見つかったから本来の役割に戻っただけって事かな。てか監視って……爺さんも言ってたけど、居るわけ無いだろ。

 あんな大声出しといてそれは今更。自分でもいないと分かってる癖に良く言うよ。まあだけど、これでようやく作戦に入れる様だ。


『ではこれより第四研究所は、悪の権化とかして我らと衝突する立場を選んだ第一研究所にオペレーションを遂行する。

 目的は奴等がひた隠してる実験の詳細と、アイテムの情報の入手。後はめぼしい情報を盗めるだけ盗む事だ』

『しょちょー欲を出したらろくな事に成りませんよ』

『うるさい、先んじて発表出来る物があれば、資金の足しに成るではないか! 我がラボはいつだって金に困ってるのだよ。

 つべこべ言わずにオペレーション開始だ!!』


 そんな宣言と共に、あまりやる気の無い声がウインドウから漏れた。てかノリノリなの所長だけだし……でもその所長は指示するだけで何もしないという……なんかダメな上司の見本みたいな奴だな。

 マッドサイエンティストが聞いて呆れる。てかこれって成功したらどうなるんだろう? こんどはその情報を元に歩き回る事に成るのかな?

 どこまで第一研究所が掴んでるかが重要だな。もし盗めたらの話しだけど。まあだけどここで情報盗めないと、イベント的に進めないし、何とか成功するんじゃないかな? そんな期待をちょっとだけ持ってると、所長の周りに展開してるウインドウの一つから、こんな声が聞こえてきた。


『うわ!? これってまさかウイルス? 侵入者用のトラップに掛かっちゃったみたいです所長。電源落として素知らぬ振りを通しましょう。

 一瞬だったしまだ場所までは特定出来ないはずです』

『それはまさかオペレーションは失敗に終わったと? まだ一分くらいしか経ってないぞ?』


 僕的には一分も経ってないぞ。おいこら。おいこらと言いたい。


『ハッキングは掛かる時はかかるけど、終わるときは一瞬ですよ。だから速攻巣潜りの方向で。全責任は所長持ちでお願いしますね』

『まてまてまてぇぇぇぇい!! これで終われるか。何も取れてないじゃないか!! これではマッドサイエンティストの名が廃る!! 何か無いのか何か?』


 あまりの部下のふがいなさっぷりに、動揺を隠せない所長。まあこれじゃあね……やった意味さえ危ういよ。てか役に立たなさすぎで僕だって文句言いたいね。ちょっと前までの期待を返せ。


『う~んそう言われてもですね所長……案外第一の奴らが本気出し過ぎなのが悪いと言うか。でもそう言えばゴミ箱の中のファイルだけなら取れましたよ』

『そ、それは……まさにゴミなのでは? まあいい、取り合えずそのデータをこちらに転送してくれ』

『りょうか~い』


 そんな声と共に、画面の中の所長のウインドウが一つ増えた。多分そこにゴミ箱ファイルが現れてるんだろう。てかゴミ箱って……マジ期待出来ない。

 ここから一体どうなるんだろう? 僕が心配気に画面を見てると、一緒に中に映ってるシクラがこんな事を言う。


「私がちょちょいって情報を取って来てあげよっか? っしたら楽勝でしょ☆」

「お前な、それはズル以外の何でもないだろ。そんな事出来る訳ない。手伝う位は我慢してやるけど、出過ぎた事をするなよな」


 そんな事して勝ったって嬉しくなんかないし、ここまで自分達でやってきた事を、台無しにすることなんだ。実際ちょっとシクラには手伝って貰ってるから今更とか言われても仕方ないかもだけど、やりすぎは必要ないって事。

 だってこのイベント的には、この展開で良いはずなんだろうし、わざわざこっちからイベントに歪みを起こすような事をしなくてもいい。


「私的にはなんだって勝てなくっちゃ意味なんてないと思うけどね☆ まあスオウがそれで良いって言うなら良いけど、後で私のせいにしないでね」

「そんな事しない。安心してろ」


 僕は素っ気なくそう返す。例えアイテムが手に入らなくったって、それをシクラのせいにはしないっての。まあ負けるのは癪だけど、そこまでしても絶対に勝たないといけない戦い――て訳じゃない。

 これはいわば寄り道だ。気軽に楽しめてればそれでいい程度。ちょっとした緊張感でハゲ共と競争してるって感じだもん。まあ向こうはそんな軽そうでもなかったかもだけどな。

 僕とシクラがそれぞれの考えをぶつけてる間にも、ずっと画面には『う~~ん』『ふ~~む』とかが表示され続けてた。

 そして不意に所長が『ふわっは……ふわぁーはっはははははは!!』と言う感じの高笑いを始めた。まさかゴミ箱に重要な情報でも捨ててあったのか?

 それは流石にセキュリティの面でもあり得ないだろ。都合よ過ぎって言うか……


『所長うるさい。何かあったんですか? こっちでも確認してますけど、そんな高笑いする内容はどこにも無いですよ』


 なんだ、やっぱりないのかよ。むっちゃ自信満々な様に笑ってるから、何かあったのかと期待したじゃないか。ちょっと位の理不尽はイベントを進める為にはあるかも~とか思ったのに。

 てか、それじゃあ何でこの人は高笑いをしてるんだって事になるけど、元からちょっと痛い人だから意味なんて無いのかも知れないな。

 だけど所長は僕も含めての白い目を物ともせずに続ける。


『何を言うかお前達。このゴミフォルダ、使いようによっては我ら第四研究所の宝船になるかもしれんぞ。この中身はおもいっくそプライベートではないか!!』

『ちょ、所長声がデカいうるさい自重しろ。てか他愛もないプライベートメールのやりとりなんて物を、狙ってた重要機密なんて物と比較されても~』

『ふっ、お前はプライベートメールの機密性を分かってない様だな。では聞こうじゃないか、お前は私にメールを盗み見られて耐えられるのかな?』


 フフンと随分得意気に鼻を鳴らす所長。すると研究所員の人はあっけなくこう言うよ。


『その時は所長を殺します』

『対応が極端だね……私以外でもそうするのかな?』

『所長に見られた時だけ殺します。だって所長って口が軽そうですもん。常に尿漏れを起こしてるみたいに垂れ流しまくりじゃないですか』

『わっ私はそこまでバカじゃないし、まだまだ尿漏れを起こす年でもない。それに訂正しておくが、私は意味ない事を叫んでるだけだ』


 おいおい自分で意味ないって言ったよこの人。無駄に声を張り上げたいだけか。なんて迷惑な人だよ。


『まあそれでも私のメールを観たときには殺しますから。で、何を見つけたんですか? プライベートを晒して脅そうとかそう言う事ですか?』

『ふっふっ、まさにその通り』


 その通りなんだ。そんな恥ずかしいやりとりがゴミ箱に捨てられてたのか? 脅せるくらいなら、バレたら不味い関係とかだよね? 


『見てみろこの内容を! プライベート赤裸々だろこれは。社内恋愛など奴らも乙な物だな。なあ諸君!』

『うちでは有り得ない事この上ないですね~。痛い所長にハッキング一つまともに出来ないハッカーに老人って……どれだけカオス何ですか?』

『「万年色気ゼロの何も出来ない私って女」ってのが入ってないよ。人を蔑む前に自分を見つめ直してくださ~い』


 なんか空気が悪く成っていってる様な感じのメンバー達。まあ主にウインドウ内の二人だけど……確かにこのメンツじゃ社内恋愛とか無さそうだね。


『落ち着け二人とも。そんな下らない事で目的を見失うな! 我らが目的は、奴らに先んじてアイテムを手に入れ、我が第四研究所の実力を国に見せつけ補助金ガッポッガポだろ!?

 こんな所で争ってる場合では無いぞ!』

『『それは……そうですけど……』』


 ウギギ――と互いに睨みつけてる二人。だけど所長の言葉で、何とか収まったみたいだね。こういう所は所長だな。

 てか補助金ガッポガポって……いや、目的なんてそれぞれで良いんだけどね。まあ第四研究所を見る限り、お金は必要だよね。


『けどではない! これは所長命令だ。取り合えずこの内容の主を特定しろ。そしてこちらの協力者に成って貰おうじゃないか。

 それの方がハッキングなどより確実だ』

『はいはい……鬼畜ですね所長』

『鬼畜じゃない。私こそがマッドサイエンティストだ!!』


 そんな痛い響きが画面の向こうの青い空に空しく響く。



「どうだった?」


 扉の方へ戻って来た僕に対してスマホを握りしめてるメカブがそう言ってきた。僕はなんだかちょっと慌てた様に立ち上がったメカブをいぶかしみつつ、今の事を説明してやる。


「――なわけで、次のターゲットは第一研究所の研究員『ジェロワ』って奴だな。今度こそ本格的な情報が掴めそうだよ。上手くいけば」

「プライベートメールを使って脅しって……あのオッサンそんな鬼畜だったのね。てかそんな恥ずかしい内容だったの?」

「内容は知らないけど、それだけの物なんだろ? 脅しに使えるんならさ」


 こっちには内容まで見せてくれなかったんだよな。まあ別に僕がそれを知ってても意味はないだろうから、なんだと思うけど。


「で、これからどこに行くの? 脅してる相手に会うのがアンタの役目な訳でしょ?」

「そう言う事。取り合えずアキバ駅だな」

「ヨドバシじゃないんだ? あそこが第一でしょ?」

「まあそうだけど、脅す相手の職場自体に行くのは不味いだろ――って事でそうなったらしい」


 あの後はなかなか早かったんだよ。あのヘナチョコハッカーでも人一人の個人情報を調べる位は出来た。そこから【お前の秘密を知っている】的なメールをジェロワさんに送って証拠となるメールを何点か添付。

 それで信用させて呼び出したって訳だ。


「でも何で駅なのよ? あそこってブリームスでは中央広場だったわよね? 見晴らしも良いし、人通りも多いじゃない」

「それはアレだよ。あんまりこそこそやるのも怪しいんじゃないの? 木を隠すには森の中じゃん」

「人を隠すには人混みって訳?」


 多分そうだろう。発案はあの所長だから適当かも知れないけど、僕達は逆らえないし。反発したってアイテムが遠ざかるだけ、取り合えずその場所で会ってみるしか無いんだ。


「まっ、それもそうね。今の所順調だし、このまま行ければ良いわね」

「だな」


 ここまで苦労したからね。ヤクザから逃げたり対峙したり、暑さにやられたり規格外のシスターに出会ったり、そりゃあここ数時間で色々詰め込まれすぎ。


「所でお前は暇な時何やってたんだよ? いじってたろスマホ?」

「え? ああ……それね。別に天からのメッセージの確認に、情報集めよ。それ以上でも以下でもないわ」

「天からのなんだって? そんな電波な物を受信する機能、スマホにあったか?」


 僕が呆れつつそう言うと、シクラが画面の中からポツリと【メールでしょソレ】とか言ってくれた。ああ成る程ね。なんて面倒な言い回し。


「僕は現代に生きてるんだから、現代の言葉で言えよ。わかりづらいだろ」

「うるさいわね。私が何をしてたかなんて、アンタ程度に理解できる筈もないし、言う必要もそもそもないわ」


 そう言ってメカブはサンダルをパカパカ鳴らしながら階段を下りていく。


(なんだアイツ? なんであんなに焦ってんだよ)


 よく分からない奴だ。そう言えば僕が戻った時、スマホを後ろに隠す用にしてたな。本当はいやらしいサイトでも見てたんじゃないか? メカブならあり得そうな気がする。それで気まずいから、なんだか慌ててるとかさ。そんな事を考えて後を追ってると、外からもめるような声。僕は歩調を上げて、真っ白な外に出る。

 第二百五十六話です。

 イベントも進んできて、次回は急展開の予感!? です。そろそろ一気に進めたいですからね。いつまでもチマチマとアキバを回ってる訳には行かないでしょう。

 てな訳で次回は水曜日に上げます。ではでは。

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