2547 前に進む為のxの問い編 931
「そこまでだ」
そういって天上から現れるのは妖精王。ここのラスボスがいきなりやってきた。
「げっ」
そんな女の子が第一声で出してはいけない声を出してるメカブ。確かにどいつか立ちはだからないかぁ……とか思ってただろうが、流石に妖精王は想定外だったんだろう。
視線を向けると全力で頭を振ってる。
『無理無理、こんなの相手にできる訳ないじゃん!』
という叫びが聞こえるようだ。実際、妖精王を前にして逃げるなんて……だってこいつはきっと日鞠を引っ張り戻す方法とか知ってるかもしれないし……前の時はいきなり地上に戻されたからな。強制送還的なさ……けど、今度はそんな事にはならないし、させない。
第一容疑者といっても過言じゃないこいつは……もちろんだけど僕がちゃんと相手にする。
「妖精王、会長を返してもらうぞ!」
「あれは彼女が望んだことだ。少し時間はかかってるようだがな」
少し? はっきり言って今問題になってないのは、色々と日鞠がリアルで問題ないように準備してたからだ。それに今は夏休みだからってのも大きい。でもこのままだとまずい。一週間、二週間とかなると、流石にあの場所でずっと寝かしておくのも危ないだろうし……病院とかに移動させるとなると、バレないようにするのとか大変だろう。
もしもばれたらこのLROだってやばいんだぞ。二度目はきっと世間が許さない。今だってなんかなぁなぁになってるだけで、許されてるわけじゃない。信者の声が今はデカかったから、また発売することができたってだけだ。
もしも批判の声が大きく成ったら、今度こそ本当に……
「それなら、彼女を戻すのに協力すると言ったら?」
「それなら、それを出来ると示してもらいましょうか?」
そういってる間に、なんか妖精王の声が重なっていく。そして妖精王がどんどんと増える。一体、二体……なんてかわいいものじゃない。既に十、二十……三十とかになってる。
「ちょ!? あんなのは反則でしょう!?」
「これは……流石にヤバいかもね」
メカブだけじゃない。まさかのローレも弱音を吐いてる。けどそれも仕方ないだろう。だって妖精王だ。それが数十人? 反則と行ってしまうのも仕方ない。実際僕も、これには反則だって思う。でも、退く選択肢はない。