2545 前に進む為のxの問い編 929
「ひ、ひえー」
そんな風にオウラさんの肩で震えてるメカブ。でも実際当たることはない。かなり強力な砲撃の様だけど、やりようはある。なにせ爆撃みたいだからな。それは魔法ではない。魔法なら多少の軌道修正とか玉ごとに出来るかもしれないが、これはどうやら弾みたいだ。いや、石……と言った方がいいかもしれない。きっと月の石に魔力を込めた……みたいなそんなものを何かで飛ばしてるみたいだ。この月のどこかを掘り起こしてるのか、地上にある月の石よりも何倍も大きな石……いや岩? それが高くあがってそして落ちてきてる。それだけで脅威だ。でも、当たることはない。なぜなら、風で高い所にある時から、わずかに軌道をずらしてるからだ。
デカい岩の軌道をずらす……それだけ聞くと滅茶苦茶大変だと思えるだろう。けどそんなに精密に狙ってるわけでもないし、ただ打ち上げてそして落ちてきてるだけだ。だから高い位置で僅かでも軌道をズラすことが出来たら、着弾地点はかなりズレてくれる。なのでそこまで強い力は必要じゃなかった。それに僕が一番得意な属性が風というのもよかった。
「もう少しだ!」
月の岩の絨毯爆撃の中、僕たちは月の城を視界にとらえる。いやまだ月の街が立ちはだかってる。すると、そこには特殊な月人がみえた。月の街へと続く道の門。その場所に鎮座してるのは身長が3メートルはあろうかという、下半身が馬で上半身が人のようなケンタウロスみたいな月人だ。そしてその両脇に蛇のような体の月人がさらに二体。さらにはバサバサとその腕の部分を翼にして飛んでる全長数十メートルはあろうかという月人もいた。そいつらがどうやら月の街への門番らしい。
「くっ待ち構えてやがる」
「スオウ君!」
「ひゃあ!?」
後ろから声をかけられて振り返ると。なんか飛んできてた。それを思わず受け止めると、なんかとても柔らかい感触が顔に触れてうまった。いい匂いでいっぱいになる。
「ちょっと! どこに埋まってるのよ!!」
そういって叩かれる僕。どうやらこれはメカブの奴の胸みたいだ。もっというとおっぱい。こいつはリアルでも大きいが、こっちでも大きい物をもってるようだ。てかなんでオウラさんはメカブを僕に? そんな事を思ってると、オウラさんとアギト、それにアイリさんにエイルとリルレットちゃんが飛び出した。そして待ち構えてる特殊な月人達にスキルを放つ。轟音と共に、土ぼこりが周囲の視界を悪くする。
「今だ! さっさと行け!」
「日鞠ちゃんを連れ戻してきてください!」
そんなアギトとオウラさんの声。つまりはこれは「ここは任せて先に行け!」――と言うことだろう。僕は迷わなかった。残りの皆を引き連れて、僕は走り出す。
「えっと私も残ろうかな?」
そんなメカブの言葉は無視した。