2538 前に進む為のxの問い編 922
なんか予想外の事もあったが、狙い通りにコストが残ってる月の石は手に入った。とりあえずローレの月の石をカモフラージュに使ったことは言っておいた。なにせあの月の石はローレのチームの所有物だし、勝手においてきたのはちゃんと報告しておかないといけないだろうって思ったからだ。けど……
「あーまあいいわ。必要経費でしょ」
――で、終わった。これで貸し一つね……とかいうかと思ったが、そんなことなくてちょっと拍子抜けした。けどありがたいから、余計な藪は突かないことにした。僕たちはローレが持ってる人種の国のプライベートな家に入ってる。
どの国の街もちゃんとお金を払えば家を買えるし、建てられる。けどもちろんだけど、そのお金は大量に必要だ。僕にはとても払えることもないから、そんなのに興味なんてなかったが、どうやらローレの奴はそれぞれの国に家があるらしい。
やっぱりチームを纏めてる立場の奴は資金もけた違いにもってるらしい。普通にローレの家は貴族区画の一角にあって、そしてその大きさはお屋敷……と呼んでいい規模だった。
「おかえりなさいませご主人様」
とかその家を保ってるであろう執事とメイドさんにあいさつされてた。どうやら各国にある家はどれもこの規模らしい。なんかいきなりローレが凄い奴に見えて来た。
まあけど今はありがたく使わせてもらおう。普通にエリアで良いんだけど……エリアに帰る手間も惜しかったのだ。僕は早速月にいるセツリにコストが残ってる石が手に入った……という事を伝える。
別にもう早速月の道を開きたかったんだけど、協力者にはちゃんと報告しておかないとだろう。メッセージを送ってる傍ら、僕は祝福で月のシステム画面を開いてる。それで月の石でゲートを開く準備は万端だ。
「あれ?」
「どうしたのですか?」
僕の言葉に反応したのはシルクちゃんだ。白魔導士のような恰好のローブには今は大きな耳が垂れている。かわいい。僕はシルクちゃん、そして皆をみてこういう。
「コストが足りない」
「 「 「えええ!?」 」 」
みんなが驚く。無理もない。だって僕も驚いてる。けどおかしい……なにせ前はこんな二桁必要なコストじゃなかった。寧ろお手軽価格だった筈。けど今は……なんかバグってるのか? という風にコストが倍増してる。
「必要コストが増えてる」
「そういう仕様なのかもしれないぞ」
「いや、それはおかしいよ。だって月の奴らは何回も月人を送ってた筈だ。一気にそんなにコストが跳ね上がるのが仕様なら、繰り返して送るなんて不可能だ」
僕の言葉にアギトが反応して、それにテッケンさんが反証する。確かにテッケンさんのいう通りだろう。おかしい……そうこれは納得できない。一体どういうことだ? 僕はクレーマーのようにセツリにメッセージを飛ばすよ。




