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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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2505 前に進む為のxの問い編 889

 ガタンゴトン、ガタンゴトン――そんな音に僕は揺られてる。既に夜は終わって、昨夜の出来事がどこか遠くに感じる時間帯だ。日の光が、あれが夢だったんじゃないかと……そんな風に思わせる。

 けど違う。朝になってもLROは賑やかだった。なにせ昨夜、突発的に起こった『月の侵攻』。それに参加できた者たちはいい。てか彼らは、その興奮を朝もずっと語ってたみたいだ。


 そして朝になると、寝てた人たちが参加してくる。今は世間的には夏で、そして学生たちにとっては夏休みの時期である。朝から一斉に参加してくる人数だって通常の平時とは比べ物にならないだろう。

 夏休みだからこそ、朝っぱらから夜までやるぞー! みたいな体の事を考えたログインの仕方をする人もいるだろう。そんな彼ら、彼女たちは盛り上がる昨夜の話を聞くことになる。


 そうなると、「なんだってええええ!?」――である。そんなビックイベントというか、大切な出来事が起きてたのかよ!? ――と嘆くことになったのだ。


 色んな所で後悔や不満を漏らす声がみうけられる。それで色々と盛り上がってる。いつの間にかモブリの国なんて、リア・レーゼを失ってるわけだし、更には全プレイヤーに影響する程の「世界樹の喪失」も起きた。


 きっと今までのやり方では戦いにくくなってるだろう。実際、夜からずっとLROにインしてるプレイヤーは既に検証を開始してる者たちもいるようだ。

 バイタリティーに溢れすぎだろ……と思う。けど彼等の検証したデータはとてもありがたいものだろう。いつもの感覚でいつもの敵に挑んだとしても、今は世界樹の加護が喪失してしまったから、苦戦するはずだ。


 夜からインしてる人たちはそれをわかってるが、朝から起きてインしてきた人たちはそれによって犠牲になる人達だって出てた。誰もがそんな検証班のデータを毎日チェックしてる……なんて事はないからだ。


「なんか今日は体が重いような?」


 その程度の感覚なら気のせいだろうとそのまま冒険に出かけるプレイヤーは大量にいるだろう。だから結構阿鼻叫喚になってる状態だ。


(まあけど、叫びたいのは僕も同じだ)


 なぜに僕が電車に乗ってるのか……それは勿論、日鞠の居る場所へいくためだ。自宅にはいなかった。そして学生の友達の家にいるという事でもなかった。朝一番に動いたわけだけど、この連絡が入ったのは朝の八時頃だった。僕は結局いてもたってもいられなくて、六時半には動き出したからな。早すぎたと思う。

 けど我慢なんてできないだろう。自宅にいなかったことで僕は沢山の所に走ったさ。そしてようやく連絡がもたらされて、こうやって落ち着いてる訳だ。

 本当は――『もっと早くしてよ!?』――と言いたかった。けど八時はとても常識的な時間だろう。だから僕は何も文句をいう事はしなかった。偉かったと思う。ようやく安心できた僕は今、日鞠の元へと向かってる。

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