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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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2499 前に進むためのXの問い編 883

 確かに僕は失敗してしまったらしい。このLROで何が怖いのか。それは思い込みだ。それはわかってたはずなのに……僕はそれをしてしまった。なんだって可能性が在るはずなのに、「こうであるはず」――と僕は思い込んでしまった。


 人は見たいものをみる。信じたいことを信じる。きっとその特性が出てた。だってそのほうが楽だから。いくら気をつけててもそれを完全に回避するなんてできなかった。

 けど……


「まだ終わってない!」


 そうだ。まだ! ここにいるのは僕だけじゃない。最初に吹き飛ばれてたテア・レス・テレスの面々が動いてた。なにせここまで来てくれた人達はテア・レス・テレスでも戦闘に自信がある面々だ。

 しかもそんな彼らがちゃんと連携をして、スキルも合わせて使ってくる。それ人数差もある。控えにセツリやレシアがいるとしても、今は妖精王が一人。この人数で押せばひっくりかえすことは十分にできる。


 けど妖精王は動揺を見せることはない。ただ静かに攻撃を仕掛けてるテア・レス・テレスの面々に一瞥もせずに、それを受け入れる。


 激しい爆発音が重なる。さらには後衛の人達の派手な魔法も合わさった。魔法反応が起こり、赤かった炎が白くなって渦巻く。こっちにまで熱気が来る凄まじさ。

 ただではすんでないだろう。でも……それらの攻撃が一瞬で弾ける。まるで何もなかったかのように。


 妖精王が消えた攻撃が埃をつけてないか、体を手で払ってる。どうやらあいつにとっては今の攻撃はその程度……ということらしい。


「わかってないようだな」


 皆に告げるようにそういう。何が起きたのかわからないから、テア・レス・テレスのみなさんも動けないでいる。僕も何が起きたかのわからない。コードを見てたわけだけど、相当な攻撃だったのは確かだ。彼らに落ち度は一つもない。

 次の準備だって油断なくしてた。でもあの妖精王の様子にきっと疑問を持った。だから動けなかった。


「君たちは勘違いをしてるんだよ。私が彼女をこうやったと思ってるんだろう? だが果たして、彼女が私にこうされるだろうか? 君たちの中の彼女はそんな存在か?」


 その言葉はテア・レス・テレスの面々に刺さったらしい。彼らの中では会長は絶対的な存在だ。神格化してる奴らだっているだろう。そんな会長がたとえ一対一だったとしてもこんな風に負ける……なんてのは考えられないことなんだろう。


 本人にそんなことを言ったら――


「えー私だって負けるよー」


 ――とかいうだろうけど、その言葉を信じてるやつなんて居ないだろう。だからこそ、もしもこれは妖精王がやったんじゃない? だとしたら……という考えがテア・レス・テレスには浮かぶ。


「彼女はより深くに、そしてそれを私は利用してるだけだ。彼女は月のシステムに興味津々でね。君たちの訪問は歓迎ではあるんだが、いささかまだ早い。おかえり願おうか」


 そういって妖精王が2回手を叩く。すると全てがかわった。それは周囲全てがなくなったということだ。僕達は月の城にいた。玉座の間にいたはずだ。けど……妖精王が手を叩いた瞬間に外にいた。ただの月面……そこに野ざらしに僕達はいる


「なっ!?」

「なんだこれ?」

「転送?」


 テア・レス・テレスの人達も混乱してる。それはそうだろう。いきなりこんな場所に飛ばされるってゲートでも無いとありえないぞ。転送魔法なんてのはまだ見つかってないし……


「転送ではない。言っただろう、見破れると思ったか? と」


 その言葉で僕は察した。でも……まさか……


「まさか、今までの光景全てが幻だったのか?」


 月の城もその周辺の建物も全て、僕達は幻をみてた? だって座標的な位置は実は変わってない。コードを見てるとそれがわかる。それは転送したということを示してない。

 つまりは僕達は移動してない。ならば建物が消えたことになる。けどそれもおかしい……ならば考えられるのは一つだけ。

 最初から最後まで全部が幻だった。でもこれみよがしに玉座と会長の姿はあった。


「種明かしもここまでだ。ああ、それとこの子はしばらくは戻りそうにないから伝言を頼まれてたよ。そこの君。君が「スオウ」だろう?」


 僕は名指しされてびっくりした。やっぱり会長と話したというのは本当か。僕は頷く。


「彼女からの伝言だ。『しばらく戻れそうにない。ごめんね。でも心配しないで。みんながいれば戻ってこれるから』だそうだ」


 妖精王は紙を一枚出してそれをなぞると会長の声でそんな言葉が流れた。このLROでそんな事ができるのは会長だけだ。だからこれはきっと会長の言葉で間違いない。

 でも……一体どういうことだ? そんな混乱に陥ってると、妖精王が更に告げる。


「ではお帰りになってもらおう」


 僕達は落ちる。大きな穴ができてそこに落ちていく。穴の上で妖精王が僕達を見てるのがみえた。

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