2496 前に進む為のxの問い編 880
どういうことだ? 誰もこれには気づいてないだろう。アンノウンが会長の体には重なってる。そして……僕の目には所々、いや節々がほころんでる。別に服がほころんでるわけじゃない。その体がほころんでるのだ。足先、手先、髪の毛の毛先……そんな所がぽろぽろとほころんでる。
「汚い手で触らないでくれないか?」
そんな言葉と共に妖精王は空中で足を鳴らす。どういうことかというと、地面を踏むように、空中を踏んだのだ。ダン! ――という音が、いや音だけじゃなく衝撃波がこの場に広がった。そのせいで会長に近づいてたテア・レス・テレスの人たちが吹き飛ばされる。でも入り口近くにまだいた僕は耐えることが出来た。立ってるのは僕と妖精王だけ。視線がまじわる。僕の周囲に黄緑色の風が集まってくる。そして次の瞬間、僕は妖精王に切りかかってた。妖精王はいつの間にか細身の剣を取り出しててフラングランを受け止めてる。
でも僕はそこから頭の上に飛んでさらに攻撃を繰り返す。頭を狙った攻撃は紙一重で交わされた。けどフラングランは二刀一対だ。一回で終わると思うなよ!! 僕は縦回転を繰り返して無理矢理剣を叩きつけてやる。それによって妖精王が床に落ちる。大きく城が揺れて再び衝撃が走る。足を床に突き刺した妖精王のせいで床が一気にバッキバキになる。さらに僕は風を集めて、空気の面を捉える。膝を折って、力を込めて、妖精王が光の光線を向けてくると同時に自身を発射させる。
「ぬぐああああああああああ!?」
そして空中に片腕が舞う。僕は妖精王の片腕を切り飛ばした。本当なら胴体を真っ二つくらいに思ってたんだけど……そこは反応された。けど腕は持っていけた。僕を追ってくるように再び光が発射される。
でも僕には追いつけない。だって僕は止まらない。妖精王一人だけで出て来たのは失敗だったな。ホームだから余裕があったんだろうけど、それならば最初から攻撃でもしてきてればよかったんだ。
余裕を見せるからこうなる。僕はこの勢いのまま妖精王を倒しきるつもりだ。回復だってさせない。言葉にだって耳を傾けない。ただ、目の前のこいつを今は倒すことだけを考える。
だってそれが会長を取り戻す一番の方法だからだ。