平面上の螺旋
メカブの奴がテイクアウトまで取ろうとするものだから、僕は一足先に外で待つことに。灼熱の太陽の下で待つ間に、僕はスマホに侵略してきてるシクラと言葉を交わす。
敵であるその存在と今だけは穏やかに。
「ちょっとちょっと、どうしたのよ無限の蔵。いきなり外に出るとかマジで勘弁なんだけど。冷房に浸かった体はそんな易々と外気に晒していいものじゃ……てか、覚悟を頂戴よ覚悟を」
「うるさい、覚悟なんてしなくてもその内、外に出るんだから同じだろ。元から覚悟してろ」
僕とメカブはゴミを捨てるダッシュボードの前でそんな会話を繰り広げてた。
「こんなに早く出るなんて聞いてない。まだ私デザート食べてないし……ちょっと不満かも」
「あれだけ食ってまだ食うのかよ」
僕は呆れ半分にそう言う。だってこいつハンバーガー五個位食べて無かったっけ? それにドリンクだって三杯位飲んでたし、しかもそれに飽きたらずデザート? 見た目とは違って意外と大食いな奴だ。
イメージとしては、一日分のエネルギーを野菜ジュースとかで取ってそうだったのに……こんな事言いながら。
『野菜ジュースこそ、栄養摂取とエネルギー変換率に最も優れた、この時代の許せる食事なの』
だけど蓋を開けてみれば、ファーストフード大好きの現代っ子じゃないか。
「うるさいわね、女の子に取ってデザートは別腹。それに私は知っているわ。天寿が見せてくれた未来には、栄養摂取こそが大切なダイエット方だとね」
「へ~」
随分都合の良い未来を天寿は見せてくれるんだね。まあ別にメカブが幾ら食べようと、どうでも良いことだけど、食いすぎて動けなくなるとかは勘弁だ。
「ああー信じてないわね。言っとくけど、エネルギーを消費するのにもエネルギーは必要なのよ。代謝を良くしてれば、太る事なんかそもそもないの」
「別にメカブが太るとかそんな事はどうでもいいんだよ。それよりもさっさと覚悟を決めて出ていくぞ。物欲しそうな目でカンターばかり眺めてんなよ」
どれだけデザートに未練たらたらなんだ。まあ外に出たくない気持ちは分かるけどね。あの灼熱地獄に舞い戻る気になるには、この文明は偉大過ぎるよな。なんという快適空間を作り出してやがんだ――って感じだもん。
周りを見渡せば一杯いるし……この文明に満たされた空間から出れなくなった人達がさ。あんまり長く居ると僕達もああなりそう。
てか、外に出たくない人達で一杯だから、店側の回転率悪くなってるよ絶対に。店にとっても良い迷惑だな。
「別にカウンターばかり眺めてる訳じゃ……しょうがないわね。テイクアウトにしよっと」
「結局食うんだ……」
ま、テイクアウトなら文句は言うまい。てな訳で、メカブがデザート買いに行ってる間にこっちは外へ。自動ドアをくぐるとそこはまさに別世界。強力な日差しがすぐさま肌を焼きだした。
「うげ~アッチィィィ」
覚悟はしてたけど、既に店内に戻りたい気がする。まあ気がするってか、確実に戻りたい訳だけど、あんな事をメカブに言っておいて、僕がのうのうと店内に舞い戻る訳には行かない。
「大変ね。そっちは色々と☆」
画面の中から小馬鹿にしたような声が聞こえてくる。そう言えばそっち側はどうなってるんだろう。興味があるな。それに誰かと会話でもして、この暑さを紛らわしたい。
「うるさい、そっちは暑くないのかよ? 一応LROの気候って日本に沿ってる筈だろ」
時間の流れは向こうの方が早いけど、季節が流れる所はそうだったはず。なら向こうだって灼熱地獄だろ? なのにさっきから画面の中のシクラはやたらと涼しげで、汗なんて一滴も掻いてない。どういう事だよ。
「まあこっちもそれなりに暑いはずだけど、こっちは魔法が使えるから☆ それにほら、私って色々チート設定だからね」
自分で言うかこいつ。反則的な存在だとわかってやがるな。ホント、LROではこのチート的存在の奴が後五人位だっけ? 居るとかアホだろ。ゲームバランス考えろ。
絶対に偏りすぎ。まあこいつらは元がゲームの中の存在じゃないから仕方ないんだろうけど……僕にとっては仕方ないで済ませられないんだよな。
「自分がチートと分かってるなら、少しは自重しろ。てかそもそも何でお前、僕の携帯を侵略してるわけ?」
そう言えばわざわざここに来た理由聞いてなかったような……あれ? でもなんか言ってた気もする。嫌われさせたいとかなんとか……でもそれでもここまで来る理由になるかな?
「だってだって、LRO落ちちゃったし、やることなくて暇だったから~。それにこっちにも興味があったしね☆」
「落ちたって、やっぱりLRO全体が落ちたのか? てか、それでなんでお前は活動できる訳? おかしいだろ」
サーバーが落ちたのに一つの存在が個々に活動出来る物なのか? 一緒に落ちてろよ。
「あれれ~、そんな事言って良いのかな? 誰のおかげで貴重な情報が手には入ったと思ってるの? 私、シクラちゃんのおかげだよ☆」
キラキラをまき散らしてそんな事を言うシクラ。そこは確かに認めるけど……素直に感謝は出来ないな。てか、したくないし。この妙な関係なんて今日限りだし、LROに戻れば倒すべき相手だ。
だから僕はツーンとしてこう言うよ。
「お前が役に立つのなんて今日だけだ。で、落ちてるからって、お前だけ遊びに出てて良い訳? それも寄りにもよって僕の所なんて……お前ってホントふざけてるよな」
「えへへ~良く言われる☆」
別に誉めてねぇよ。むしろ厄介な感じを全面に出したんだ。それなのにシクラの奴は照れくさそうに笑うんだから質が悪い。
こいつ厄介だと分かってて実はやってそうだからな。バカのフリして計算高いからな。見たまんまバカじゃない所が一番厄介なんだよ。
そこで僕には気になる事が一つ。
「あれ? てかLRO事態が落ちたとか、セツリとか中はどうなってるんだ? 時間が止まった状態にでも成ってるのか?」
「せっちゃんはまあ無事よ。そもそもLROが完全に落ちる事はないし……今回はそうね外的要因が原因ね☆ てかアイツ等がちょっと覚醒し過ぎなのよ」
「アイツ等? 誰だよそれ?」
なんかちょっと震えてるけど、それだけの何かがLROには居るのか?
「こんな事言うと、スオウはバカにするかも知れないから言いたくない☆」
ンベっと舌を出しての反抗的な態度。さっきまでの震えは何だったんだ。演出か? まじウザいなこいつ。
「別にバカにしてやるから言ってみろよ」
「それオカシいよね!? そこはバカにしないって言うところでしょ!」
いいや、どうせなら僕は、全力でコイツをバカにしたい。常々恨みが募ってんだよ。
「良いから言えよ。人をそんな偏見の眼差しで見るなよな。そんな奴に僕が見えるか?」
「ついさっきの言った言葉を忘れた様な発言。舌の根も乾かない内にとはこの事ね……」
うるさい。それはお互い様だろう。シクラは首を振って息を一つ吐くと教える気に成ってくれた。
「まあじゃあ心して聞いてよね。今、LROはなんと幽霊に乗っ取られてるのよ☆」
「わ――なんだって――――(棒読み)」
精一杯バカにしてみたぜ。
「ほら、そんな態度取る。これだから言いたくなかったのに。プンプン☆」
頬を膨らませてそっぽを向くシクラ。てかプンプンって……ぶっ飛ばしてやりたい。
「プンプンはどうでも良いけど、幽霊ってお前……マジで言ってるの? てか大体同じ様な存在だろお前等」
「失礼な! あんな絞りカスみたいな連中と一緒にしないでよね。こっちは最先端のその先を行く、いわば超最先端で最高の技術の集合体よ。
すっごいんだからね☆」
「それは分かるけど……でもそれでスゴいのはお前じゃないけどな」
スゴいのはお前等を作った当夜さんだよ。まあ厄介な奴らを造ってくれたなと言いたいけどね。
「そうかな? 私が凄いのは私だからって自負があるけど☆ まあつまりね、幽霊って言うか不覚定なデータの集合体が、マザーに圧力を掛けてるのよ」
「マザー? そう言えばアルテミナスでもそんな言葉聞いたな。マザーってなんだ?」
幽霊よりもそっちが気になるじゃないか。
「マザーって言うのはLROのシステムの中枢部分の名前よ。マザーコンピューターだからマザーね。それが完全停止でもしないかぎり、LROは無事よ」
「へえ~そうなんだ。マザーにもお前たちみたいな意志があるのか? 前にそんな事言ってなかったっけ?」
マザーがどうとか言ってたと思うけど……それに普通にコイツよりも上位の存在ならそれが与えられててもおかしくないよな。
てかそもそもコイツ等の感情はなんなのか……当夜さんが意図的に与えてるとしたら、それはノーベル賞ものだよな? それともやっぱり偶然なのか……それか実は、感情と思ってる事さえプログラムってのもありか?
その場合は黒幕が当夜さんみたいに成りそうだよな。LROのシステムを分かってるのはあの人しか居ないんだし。
まあそれよりも今はマザーだ。LROで冒険してる限り、それとは無関係って訳じゃないし、ここで情報を取っとくのも悪くない。てかメカブの奴遅いし。
「意志ね……そこら辺は実際分からないかも。あるとは思うけど、自分の中に組まれたルールをねじ曲げる私達を、マザーは余り快く思ってないもん☆
だから話しかけても強固な障壁でシャットダウンが現状ね。マザーを手中に収めれれば、LROの全てが思いのままなんだけど。そうしたら今すぐにでも、せっちゃんの理想郷を作れるのに。頭が悪いのよあれ。
やっぱりプログラムでコンピュータって感じ☆」
不満そうな顔でそう言ったシクラ。でもそれはこっちとしてはマザーを応援したくなる話だよ。コイツにシステムの全てを掌握されるとか、それはもう詰みじゃん。てかシクラ達がマザーに嫌われるのは当然だな。
いわばコイツ、ガン細胞みたいなもんじゃん。マザーからしたらさ。壊して破壊する訳じゃないけど、乗っ取って書き換えるって、ある意味ガンより質悪いって。
「僕はマザーに一票を投じるね。お前に全てのシステムが掌握されると思うと寒気がする。まだまだ悪あがきするつもりだし」
「そっか☆ まあスオウはそういうよね。そうでなきゃ面白くないし、それにマザーはきっとスオウを気に入ってるよ」
気に入ってる? またおかしな事を……さっきこいつ感情があるかどうかは分からないとか言ってなかったか? それなのに気に入ってるって、適当だな。まあ一応聞いてやろう。
「気に入ってるって何が? どういう事だよ?」
「何がどういうって事は分からないけど、何となくそんな気がするって事☆ だってスオウは私達にまだ負けてない。これって結構奇跡だよ。まあだからこそ楽しめる訳だけどね」
奇跡ね。確かに奇跡は起きたよ。沢山の願いの果てに奇跡を掴みとれたんだろう。シクラの奴は言いぐさは気に入らないけど、確かにこのチート野郎と渡り合えたのは色々と説明出来ない事はあるかも知れない。
まあ命削って戦ったんだから、説明出来ない事もないかもだけど……それに奇跡をマザーのおかげとは言いたくないよ。
あれは、みんなの思いの賜だろう。
「僕はお前の楽しみを長続きさせる為に居るんじゃない。お前のその笑顔をぶっ壊す為に居るんだよ。それもマザーの思惑か?」
「さあ、だけど期待はしてると思うよ。その為にも準備を向こうもしてるんだろうし☆」
「準備?」
なんの事だ一体? するとシクラはいつものバカっぽい笑顔じゃなく、時折見せる妖しい方の笑みを作ってこう言った。
「ねえスオウ知ってる? コンピュータってのは、いらないデータとか、不要な物が蓄積されて行くんだよ☆ そういうのは最初は気にもしない程だけど、積もり積もれば、容量も取るし、何より動作が重く成っちゃうの」
まあその位は僕でも知ってるよ。分割された意味のないデータとかでも、その内に動作を重くする原因に成るとかいうあれだろ。
「今LROはね、そういうデータが氾濫してる状態なの。というか、その不要で厚かましいデータがLROを落としたと言っても過言じゃないわ☆
そもそもデータとしても怪しい癖に、せっちゃんの世界を犯すなんて……アイツ等もう一度死ねば良いのにって思わない?」
「思わないって……お前が何の話をしてるかわからん。結局何がLROを落としたんだよ。そこら辺をズバッと教えろ。お前はいつだって回りくどいんだよ」
僕がそう言うと、つり上げた口からフフフ成る息を漏らしてなんか変な雰囲気を作ろうとするシクラ。それに何故かスマホからはヒュードロドロなる音まで流れる始末。
本当に人の所有物を好き勝手にイジってるなこいつ。
「てかそれは最初に言ったよ。スオウが棒読みで流しただけ。LROには存在しちゃいけない者達が漂ってるって☆ 別にこの時期の風物詩って訳でもないけど、この時期には特に多くなるその存在。
まっ私が言うのも何だけど、私達より曖昧で、その存在を求めてる様な者達。『ゴースト』がLROを落としたのよ」
「ゴースト……そう言えばそんな事最初に言ったな。てか、あの掲示板の話は本当だったのか……」
思い出せばコイツ最初に、「幽霊がLROを落とした」とかほざいてたよ。そして僕は棒読みで返した記憶もある。あれはマジだったって事か。いや……でも……な。
「なんでアイツ等ってLROに集まって来るんだろうね。ホント迷惑。まあそれも今はマザーがどうにかしてくれてるんだろうけど」
「は? マザーってそんな得体の知れない事までどうにかできるのかよ?」
こっちはマジでびっくり。ゴーストをどうにか出来るのは、霊媒士やイタコの特権だろ。なんでプログラムやシステムの大元であるマザーにそんな事が出来るんだ?
「マザーはLROそのものでもあるんだよ☆ データとして圧迫してる部分を消すこと位出来るでしょ? まあその場合はゴーストがどうなるかは分からないけど。でも既に死んでるんだし、消えるのはそれこそ普通の理だよね」
キャピキャピした声でそう言うシクラ。確かに幽霊だし、消えたって問題なんて無いのかも知れない。けど、なんかそれで終わらせて良いのかなってのも思う。
「理……でも成仏してない魂がLROに集まってるんだとしたら、そのゴースト達には何か目的があるんじゃないのか?
無理矢理消したら、無念に無念を重ねて消える事に成るじゃないか。それって良いのか?」
「いいも何も、そういう考え方は分からないな☆ あれは生きちゃいないんだよ。死人……幻……白昼夢……そんな事と同義。スオウは死んだ人まで救いたいの? それとも生きてる人を救いたいの?
スオウは流されやすいよね。聞いた事見たことを、自分がどうにか出来ないかって考えちゃう。でも言ってあげるよ。残酷にだけど、優しさを込めて。
君は全てを救える英雄になんてなれないよ☆」
人混みの喧噪や蝉の声、車の音や街に溢れるいろんな音が一瞬僕から遠ざかった……そんな気がした。別に英雄に成りたいわけじゃないし、人が出来る事に限度がある位わきまえてる。
僕はそんな大層な人間じゃ無いって、自分が知ってる。だから僕は、スマホの向こうでほくそ笑んでるクソムカつく奴にこういってやる。
「分かってる。僕は英雄になんてなれない。でもそれでも、助けたいと思えるたった数人位は助けれるって信じてるんだ」
「あっそ☆ でもいつだってせっちゃんの事は諦めてもいいんだよ?」
「だから数人は助けるんだよ! 諦めずにな!」
何が諦めてもいいだ。僕がLROと関わり続けてるのはセツリが居るからだぞ。たく折角決めたのに意味がないじゃないか。
「はいはい、どっちが本当の意味であの子を助けれるのか……私達の勝負はそこだけだもんね☆ 今だけの協力関係。だからこそ今の内に教えてあげとこうと思っただけ」
「そりゃあどうも……」
教えるね。それがLROの落ちた原因をって事だよな? つまりはLROに大量に流れて来たゴーストがLROを圧迫したってことで、だからこそLROはそれをどうにかするために一度ダウンした……そう言う事だよな。
そしてその方法が消す事だとしたら、自分的にはちょっと複雑かも知れないな。それはクリエの事だ。アイツは確かにLROの住人なんだけど……色々とおかしな事も起こってた。
なんか幽霊っぽい事があったんだ。それがどういう事かはまだ分からないけど、このまま全てのゴーストを排除されたら、クリエは今までのクリエなのかなって……次にあうときがちょっと怖い様な。
いや、不安かな?
「なあ、マザーは本当にゴーストを消し去る為に落としたのか?」
「どういう事よ。LROにとってゴーストなんか害悪にしか成らないわよ。消すのは当然でしょ☆」
害悪って……それをお前がいうかって感じだけどな。どう考えてもお前達の方が害悪だろ。ゴーストは多く成りすぎただけで、何をしようとしてるんじゃないんだし。それを考えるとシクラ達の方がよっぽど、マザーやLROにとっては害悪だ。
「まあマザーがどういうプログラムの回路を辿って何を導き出すかなんて、私達にも分からないんだから、さっき言ったのは私ならそうするってだけの事よ。
案外あの超スーパーなデータ集合集積体は全く違う事をやってるのかも☆」
違う事ね……それにちょっとは期待したいよ。死人でも何でも、どうにも出来なくても、どこにも居場所が無いから、曖昧なLROに流れて付いてるのかも知れないじゃん。
それかやっぱり僕たちと同じように、あの場所に夢を見に来てるとか。だったらただ消すのはなんかな。そこで僕はちょっと気づいたことを言ってみる。
「マザーってもしかして世界最高のコンピューターなのか?」
有り得るくねそれ?
「当然。それに安易にコンピューターってくくりには入らないかもねアレは☆ コンピュータってのはそっち側にデバイスが必要だし、企業や国が持つものとなるスーパーコンピューターって大概大きいでしょ?
でもマザーはそんな概念とは全く違うもん」
「どう言うことだよそれ?」
あんまり難しいこと言われても、僕は分からんぞ。それにPC関連は強くない。普通に使える程度で仕組みとかは全然だしな。まあスーパーコンピューターがでかいのは分かるけどね。
「マザーは既存のコンピューターとは違うって事。ホストを主軸にメインルーチンとサブルーチンがなんたらかんたらはスオウの頭じゃ難しいだろうから――」
「悪かったな」
その関係から生み出されたテメェ等と一緒にするなよな。別に構造を理解してなくったって使えるんだからいいんだよ。
「――分かりやすくいうと、マザーは外にデバイスを持ってないの☆」
「それって、パソコンの本体がないってことか? どうやってLROを存在させてるんだよ?」
いやいや、それって無理だろ。本体って一番重要な物が詰まってるんだろ。てかそんな事が出来るなら、タダでPC作り放題……
「そこら辺はマスターが目覚めないと私にはなんともいえないよね。そんなLROだからこそ、リアルじゃいろんな所から注目されてるんだし、得体が知れなくても人は好奇心には勝てないってね☆
だからスオウ達はLROに来るんでしょ?」
う……確かにそれは言えてる……かもな。発売前に事故があったのに、それでもバカ売れしたし。まああんな世界に行けるんなら、当然といえば当然。仕組みなんて全然わからない人が殆どだろう。
けどそれをわざわざ知ろうとなんて思わない。発売されてるのなら安全を保障されてると思うもん。例え誰もがその仕組みを理解してなかったとしても、そんなの関係ない。
遠い電子の空に思い浮かべてると、店内から漏れ聞こえる甲高い音と共にそこでようやくメカブが出てきた。
第二百五十話です。
マザーはLROに居る限り、無関係では居られない存在な筈です。その内、接触することもあるかも知れません。今回は進まなかったです……でも次回こそは進めますよ!
てな訳で次回は金曜日に上げます。ではでは。