2470 前に進む為のxの問い編 854
「言ったじゃないですか。私は貴方が地上を滅ぼそうなんて思ってないと」
「だが一つの都市は落ちた。考えが変わってもおかしくない状況だ」
確かに? 一つの都市がおちたけど、それは国ではありません。モブリ的には痛いし、世界樹が月側に行ったのはとても重大な事です。でも……
「それは貴方の予想通りなんですか? 貴方の本命は……地上というよりも、こっちなんじゃなかったんですか?」
私はこれまでの妖精王の発言、そして行動……色々を考えてそういった。妖精王さんはそこまで地上にこだわってるわけじゃない。それは印象でしかないけど……でも本当に地上を支配したいとか思ってるのであれば、月のトップをセツリちゃんにするだろうか?
確かに実質的なトップは彼だろう。セツリちゃんはそもそもあんまり月にかかわりたくないスタンスだ。だからこそってのもあるとは思う。セツリちゃんを隠れ蓑に、妖精王は実質的な陰謀を進めるっていうまさにナンバーツー的な行動をしてるともいえます。
そもそもが月の玉座には女性しか座れないのかもしれないです。月には王ではなく女王でなくてはいけない決まりがあるのかも。その場合はこの立場に納まるしかなかった……のかもしれないですけど、それならそれで妖精王はきっと知ってたでしょう。
「何を根拠にそんな……私は本心で地上は月にひれ伏すべきだと思ってますよ。この素晴らしき月に……そしてこの月の住民である妖精たちに地上に這いつくばる存在は頭を下げるべきだ」
「その割には地上の妖精は放ったらかしのようですが?」
本当にそんな風に思ってるのなら、地上の妖精たちを月に招くのでは? でもこの月の城のどこにも妖精はいない。それはセツリちゃんから聞いてます。月の城に妖精はいない。
「それはまだ準備が整ってないからですよ。これでようやく準備が整う。月の城が新たな機能を開放しますので。それも君の協力のおかげだ」
「それはどうも。けど、まだ安心するには早いと思います」
「なに?」
私はぴらっと真っ白い紙をみせる。それはなんの変哲もない紙だ。縦長の短冊の様な紙。それを出して私は言います。
「月のシステムよ。ちょっと停止してください」
その瞬間、色々と走ってた光が進みを止めて、輝かしかった周囲に暗くなった。それに妖精王は驚いてる。とても……とてもね。