2447 前に進むためのXの問い編 831
「うわーー!」
「く、来るなぁ!!」
「あぁーん!! あぁーん!!」
リア・レーゼの町中は大変な事になってた。僕はあれから上手く地面に着地した。まあLROなら高いところから落ちたとしても、上手く着地できる人は多いだろう。そこまで特別なことじゃない。
得意げになってるなんてことはないが、僕の心は結構傷ついてる。そして追い打ちのようなこれである。
「くっそ! こんなのやってられるか!!」
そういって逃げ出すプレイヤーも見える。さっきまで拮抗してたプレイヤーと月人の戦い。けど今やそれは完全に逆転してしまったといっていい。だって……
「あぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
そんな叫びとともに、一斉に止まってた月人は動き出した。なんとか止まってた時に数を減らそうと皆さん頑張ってたくれてたみたいだけど、完全にこの場所は月の側にたってしまった。そのせいか、どうやら復活しだした月人もいるみたいだ。
そして一番大きいのは僕たちに施されてた世界樹のバフ。それがこっち側じゃなく完全に月側にそれがわたったことだ。それはシステム側でも通知されてきた。
『世界樹が月の所有物になったことで、世界樹の祝福が月側プレイヤーとNPCに適用されます』
――とね。そしてそれによって単純に月人は強化されといっていい。さらにはこっちはスキルも封じられてしまってる。そして次々に増える月人。はっきりいおう。ここはもう駄目だ。完全にリア・レーゼの天秤は月へと傾いてしまった。
いくら頑張ったとしても、これからここを取り戻すのは不可能だ。なにせ世界樹が向こう側についたのがいたい。それがなかったらまだどうにかなっただろう。
(やっぱりヒイラギが向こうにいったのが……僕の責任か……)
あいつをこっちに引き止める事ができなかった。ヒイラギは何も覚えてなかったんだから、状況としてはイーブンだったはずだ。けど結局はセツリに取られた。僕はあいつが望んだ物をあげることはできなくて……けどセツリにはそれができた。
そういうことだろう。
「ここに居たんですね!」
そう言ってくるのはテア・レス・テレスの隊長さんだ。僕はとりあえず現状を確認するためにも彼と合流することにした。