2444 前に進むためのXの問い編 828
「私達の関係は一度終わってしまったかもしれないけど、もう一度ここから始めたらいい。一緒に友だちに……家族になろう」
なんかセツリの奴は言い換えた。まずは友達から始めるのが普通だと思う。それが普通の感覚だろう。そのくらいの普通の感覚はセツリにも在るはずだ。そもそもセツリはこれまでずっと病院暮らししてたことで「友達」というのに理想とか憧れみたいなのを抱いてたはずだ。
だからそっちを選択すると思ってた。けど更にランクが上がってセツリはヒイラギに対して家族という言葉を使った。なにか考えがあるのか……確かにちょっとの間は思考を感じた。
でもセツリだからな。感覚で言い換えた可能性もある。なにせ以前のLROでは確かに彼女たちは『家族』だった。だからこそ、言ってる時に思ったのかもしれない。
「友達で良いのかな?」
――とね。だから家族と言い換えた。実際そうなのかはわかんない。けどそれがヒイラギに刺さったのは確実だ。
「は……いっ……はい! ……うん! うっ……うわああああああああああああああああああああああああああん!!」
そんな風にヒイラギは大泣きしだす。そしてそのままセツリの胸へと飛び込んだ。そして当然だけど、セツリはそんなヒイラギをぎゅっと受け止める。ここで拒絶したら面白かったけど、そんなことをやるわけない。やる理由もないだろう。だってセツリだって姉妹である彼女たちを探してたわけだからね。レシアに出会えて、そして今度はヒイラギ。
セツリは姉妹を全員を揃えたいと思ってるから、これはセツリの悲願でもあるんだ。そんなセツリも薄っすらとまぶたに雫を浮かべてる。まさかヒイラギがこんな風になってるとは思ってなかっただろうけど、これできっと安心できるだろう。
僕は複雑な心境だけどね。だって……これはもう決まった――といっていいだろう。ここから僕が逆転できる手ある? いやない。流石にないよこれは。どこかのタイミングで割り込もうと思ってた。
でもそれは……そんなのは……
(無理だろこんなの)
空気読めないなんてそんな言葉じゃ足らないくらいの嫌な奴になるじゃん。もう二人の間にはエモい空気というか、そんなのがあったのだ。あれに無遠慮に入り込める程に僕は空気読めないやつではない。
これってこれからリア・レーゼはどうなるんだろう? 僕はそんなことを思ってた。