2437 前に進むためのXの問い編 821
「いけええええ!」
「止めるなあああああああああ!!」
『えっと、ちょっと……挨拶……してるんだ……よ?』
「うおおおおおおおおおおお!」
「死にやがれええええええ!」
空から……いや、月から降りてきたセツリ。彼女はその背に神々しい月光を輝かせてやってきた。まさにその姿は月の女王。なにせ、その格好もまさに女王だったからだ。姫といってもいい。
彼女が着てるのはドレスのようだった。ようだったってのは月光が強いからあんまりよく見えないからだ。けどそのシルエットだけでもわかる程には揺らめいて、そして広がってるのがわかる。さらに羽衣なのか、なんか揺らめいてるし……普段はあんな格好してないセツリ。
けどきっと似合ってるんだろう。なにせあいつ、抜群に顔がいい。それはきっと男子なら百人中百人が認めるほどの顔の良さだ。それこそ百万人に一人レベルだし、十年に一人……いや百年に一人くらいのレベルだろう。
まあ今は月光が強すぎで顔まで見えないけど……けどそれでもドレスは見える。けどそのゆらめきが大きく乱れることはない。それは地上からどれだけ攻撃をされても……だ。てか……皆さん実は気づいてない?
確かにそこにいるように感じられる。なにせシルエットだけだけどその存在感? というのは確かにそこにあるからだ。プレッシャーと言ってもいい。けど普段はそんな感じはまったくないセツリだし、それはリアルだけじゃなく、LROの中でもそんなスキルを取得した……なんてのは全くもってきかない。
(いや、僕だってセツリの全てのスキルを把握してるわけじゃないけど……)
やっぱりスキルというのは虎の子である。いくら親しい間柄だとしても、切り札の一つや二つは絶対に隠してるものだ。まあけどこれが隠すほどのものかというと……だけど。
はっきり言えば、今降りてきてるセツリは、セツリじゃない。いや違うね。そう言うと語弊がある。いくら攻撃を受けたとしても、痛痒がまったくないのはセツリ自身がそこにいないからだ。
シルエットだけ……それもそのはず、それはただ単に月の光だけが原因じゃない。てか……
(この光もきっとそれを誤魔化すため)
だと僕は思ってる。そもそもHP表示も何もないし……まあそれが見えるか見えないかで言ったら、きっと地上の人たちは見えない。この光もあるしね。
てかセツリも何も通用しないんだから、別に攻撃なんて無視して話を進めればいいのに、何故かリアクションをしてるのが悪いまで在る。