2432 前に進むためのXの問い編 816
「喧嘩はやめてくれる~?」
純粋な瞳でそう言ってくるヒイラギ。そんな言葉を無碍にできるわけはない。だってレシアだってヒイラギに姉妹だっていってるし、それに今回無下にしたら、今度こそ本当にもうその言葉を信じてもらえないだろう。
けどそれは僕だって同じだ。だからこそ、やめたい。この戦い。けどそれをどうやって? というのがある。レシアが月人を操ってるのなら話は早かった。こいつがただ引けばよかった。
でもその命令権はレシアにはないらしい。でも……なくてもどうにかできるのでは?
僕はこっそりとインベントリからフレンドを選択、そしてその表示された相手に向かってメッセージを飛ばす。内容は指でカタカタと打たなくても、視界選択で素早く単語を見ることで、あとは候補を出してくれるから、文章になるように選んでいって、短い文章を作っておくった。
大丈夫、きっとあいつもログインしてる。いまは夜中だけど、あいつは夏休みだからって毎日毎日思う存分ゲームしてるからな。責任ある立場になったのに、毎朝眠そうにしてるのをしってる。それならゲームを自重したらいいのに、あいつの場合はゲームを我慢するなんて事はできないらしい。
だからこの事態だってわかってる。そしてきっと頭を抱えてたはずだ。そしてこのヒイラギという存在の発見。これには更に頭を抱えるだろうけど、だからこそ無視はできないだろう。
だってあいつだって……その存在を探してたはずだから。
「ヒイラギお姉ちゃん。これは喧嘩じゃないんだよ?」
「え? そうなの~?」
なんかレシアが言い出した。自分だけじゃ、月人を止めるなんてできないからな。どうにかして言い訳をするつもりなんだろう。
「これは遊び。私とスオウ……それに他の人達もそう。みんなが陣地を取り合う遊びをしてるの。みんな真剣だから、止まるなんてできないんだよ」
どうやらレシアはこれを遊びとして、じゃれあってるだけ……ということにしたいらしい。でも流石にそこまでヒイラギは馬鹿じゃないだろう。てか自分の姉をバカとでもこいつは思ってるのか?
「でも……みんな真剣だし……こわい……よ」
みんなが必死だからこそ、その鬼気迫る感情がヒイラギには怖いんだろう。そういう感情のぶつかりも、ヒイラギにはストレスになってるのかも。
「遊びでも真剣に、それは大切なことじゃない? みんながなあなあだと遊びだって面白くない。そうでしょ?」
なんかレシアが言いそうに無いことをいってるな。こいつなら真剣なときにだって寝そうな……そんなやつだとおもってたけど。それこそなんにも真剣になんてならないようなキャラ……みたいなさ……勝手な偏見だけど……
僕はそんなふうに二人のやり取りを見ながら、「まだか?」と思ってた。すると……だ。すると空の月が怪しく光って、その月光を落としてきた。そしてその中に一つの影がみえる。
もちろんだけど、そんな月の変化に地上で戦ってる人たちは驚いてる。