2430 前に進むためのXの問い編 814
「お、お友達がほしい!」
そんな風にいうヒイラギ。僕はそれに答える。
「ああ! なろう友達!!」
けどそんな僕の言葉に被せるようにレシアが言ってくる。
「二人は友達なんだ。私達は姉妹だけどね」
なんかそんなマウントをとってきた。確かになったばかりの友達よりも姉妹は絆的には強いだろう。ヒイラギだって家族が欲しかったはずだ。ここで友達も、そして家族もできるのなら、とてもありがたいことだろう。
「私は~お姉ちゃん?」
「そうだよヒイラギお姉ちゃん」
よしよしと小さな姉を撫でるレシア。そんなレシアの行動に目を細めながら、しっかりとこっちも見てくるヒイラギ。
「友達?」
「ああ」
僕は力強くうなづいた。レシアのやつがヒイラギを確保してるせいで、これ以上接近できないが、友達であることはアピールしとかないと。だってこのままだとヒイラギはレシアに……
「妹に……友達……妹に……友達」
なんかそんなふうに小さなその手で僕とレシアを交互に指さしてブツブツと言ってるヒイラギ。そうやって実感をしてるのかもしれない。幼い子供ってよく指さし確認とかするし。
まあそこまでヒイラギは幼くはないが……
「れ、レシアちゃん!」
「うん?」
「す、スオウ~!」
「な、なに?」
なんか決意したようにヒイラギは僕とレシアにそんな風に声をかける。いつもの間延びした声だけど、なにか決意が籠もってるその声。僕たちはヒイラギに注目する。するとヒイラギはめっいっぱい溜めをつくってる。
手をぐっと握りしめて、目は一度固く閉じてる。そして口からは「んんんん!」ともれてる。そして次の瞬間目を見開いてこういった。
「二人共メッ!!」
それはヒイラギから発せられたとは思えないような、はっきりした力強い言葉。けどその態度というか様子はそれだけだった。すぐにヒイラギはオロオロとしだして弱々しく……
「二人共~、ケンカしないで~」
と泣き出す。そうなるか……とおもった。けどそうもなるとか……とおもった。だって友達と家族。そうなったんだ。僕とレシアは。まあ姉妹という関係性をどれだけヒイラギが受け入れてるのかわかんない。
だって友達はその場で「成れる」けど、家族って「在るもの」じゃないだろうか? もちろん後から家族になるという例だってあるのはわかってる。でもレシアはヒイラギに前から姉妹だったっていってるからね。
それを受け入れてるのか? いや受け入れてはいそうだけど、姉妹という事実に納得してるかはわかんない。けどそれでも大切かもしれない関係性になったわけで、ならば……そんな自分にとっての大切な人達だから、こそ今の状況はいやなんだろう。
だってヒイラギからみたら、大切な友達と家族が戦ってる……ケンカしてるんだ。そんなのは幼いヒイラギ的には嫌なんだろう。