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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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2428 前に進むためのXの問い編 812

 レシアの奴がヒイラギを篭絡しようとしてる。それがわかる。やっぱり『姉妹』というつながりは強い。いや、ないんだけど……もうないんだけど! けどそれを覚えてるレシアがいるせいで、ないはずの繋がりがするするとヒイラギの心に入ってる。実際ヒイラギとかからしたら、レシアは「妹を名乗る不審者」でしかないが、その勢いというかその熱量で抱きしめられたヒイラギはその暖かさを心地よいと、きっと感じてる。


「わ、私の……妹? 家族?」

「うん、私達はかつて家族だった」

「それを~スオウが壊したの~?」

「うん、そうだよ」

「おい!」


 そこはちゃんと否定をしないといけないだろう。またそこに持っていくとはね。確かに誰かを敵にしたほうが残りの者はその誰かを叩くために連携が取れるという。けどそれって決して褒められたようなことじゃない。誰かを憎まないと生まれない結束なんて……そんなの違うだろう。

 きっとレシアはとりあえず……とりあえずこの場はその感情でもってヒイラギを取り込んで、その後にちゃんとした説明でもすればいいや……とか思ってるんだろう。


 ヒイラギを、世界樹を手中に収める事ができたら、それこそ月側にとってはとても大きなアドバンテージになる。いや、実際どういうふうな相乗効果を生むのかは僕にはわからないが、世界樹はこの世界にとっても重要な聖地だ。それが月側にあるというのはね……かなりまずいことはわかる。


「スオウさんは~悪い人なの?」

「それは……」


 自分自身で「良い人」というのも抵抗があった。悪い人ではないが、僕は良い人なのだろうか? いや、実際僕は自分を良い人……良い人間なんて思ってない。

 だって僕の良い人の基準は高い。それはずっと本当の意味での良い人を見てきたからだ。日鞠というね。こう考えたら、僕が日鞠から受けてる影響はとても大きい。

 けどそれも当たり前だろう。だって日鞠とは幼少期からずっといっしょに育って来たんだから。


「うーんそうだね。ヒイラギお姉ちゃんはどう思う?」


 真っ先に僕を悪者に仕立ててくるのかと思ったレシアがなんとそんな風にいった。こいつなら間違いなく僕を「悪い人だよ」とか言うと思ったのに。だってそういって僕に対して悪印象を持たせて行くのが、今のレシアの狙いだろう? 違うのか?


「わたし……は、スオウさんは~悪い人……には見えないよ~」


 そういってじわっと涙を溢れさせるヒイラギ。なにが本当か、それがわかんなくて自分の心がきっとぐちゃぐちゃになってるんだろう。でも僕はヒイラギから悪い人には見えない――そう言われて嬉しかった。

 なら僕は真摯にその心に訴えることが正解だと思う。

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